4割のビジネスマンがリストラを目の当たりにしている
雇用調整が加速している。“派遣切り”に続いて正社員のリストラが本番を迎えている。2009年1月から5月11日までの4カ月あまりで希望・早期退職者募集に踏み切った上場企業は121社、募集人数を公表している118社の合計は1万1324人だ(東京商工リサーチ発表)。最も多かったITバブル崩壊時の2002年の募集企業200社を上回る水準で推移している。
09年4月の失業率も5.0%とついに大台に突入し、完全失業者数も6カ月連続増加の346万人に達した。
雇用不安が広がる中でビジネスパーソンは雇用調整にどのように向き合おうとしているのか。その実態を探るために09年5月、プレジデント誌は20~50代の正社員1045人を対象にアンケートを実施した。
まず注目すべきは、リストラ実施企業の多さである。リーマン破綻以降の昨年後半から今年にかけて、自分の会社で雇用調整を実施、もしくは実施中と回答した人は20.6%(図1)。じつに5社に1社の割合で実施されている。昨年後半以前に実施したことがあると回答した人を含めると40%がリストラを目の当たりにしている。
さらに驚くのは今後の雇用調整の可能性だ。今後実施する予定であると回答した人は9.6%、今後実施する可能性があると答えた人は45.6%。合計55%以上の企業で雇用調整の予定・可能性があると回答している(図2)。もはやリストラは自社と縁のない話ではなく、ビジネスパーソンにとってはごく身近な存在になっている。
この数字を決して悲観的予測と見るべきではない。より現実を直視しているといってもいいだろう。企業との契約でリストラされた社員を受け入れている大手アウトプレースメント(再就職支援)会社の役員は「昨年後半以降はIT・半導体メーカーを中心に前年度比30%増、年末から今年にかけて50%増の勢いで利用者が増えるなど、予測をはるかに上回る人数が企業から送り込まれている。今後製造業の雇用調整が本格化することを考えれば、少なくとも9月までは増加の一途をたどることは間違いない」と予測する。