MRIに惹かれた原点にオーディオ

そんな彼の息抜きは、オーディオである。

鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 8杯目』
鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 8杯目』

「高校に入るとき、私立高校を受験しないということで、その受験料で最初のオーディオセットを買ってもらいました。しばらくオーディオから離れていたんですが、5年ぐらい前からまた、そんなに高級ではないですけれど、オーディオセットを買いました」

オーディオとMRIの原理は似ていると山下は言う。

「例えばCDプレーヤーはデジタル信号です。それを最終的にアナログにしてスピーカーから出す。MRIも同じ。音か画像かの違いです。MRIを最初に見たとき、なんでこんなに興味を持つのか、自分では分からなかったんです。オーディオの趣味を再開したとき、あっ、これ似てるぞって。オーディオを作っているMRI(装置)メーカーもあります。やはり共通点があるんでしょうね」

好みは90年代に流行した洋楽、特にバラードである。自宅のソファに座って音楽を聞いていると、もしかして自分が今の道に進むようになったのは、必然ではなかったかと思うことがあるという。

放射線技師は天職だと思うようになりましたか、と訊くと、彼は首を捻った。

「逃げることばかり考えていた人間が、曲がりなりにも医療人となれた。天職かどうかは分かりませんが、自分を育ててくれた環境と放射線技師という職種には感謝してます」

彼の18才の選択は間違っていなかったのだ。

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