“健康リスク”が危険水域の人が激増
2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市で検出されたCOVID-19、新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界に広まりました。そして現在もなお、その衝撃は続いており、収束の気配はありません。
重症化した患者さんの厳しい状況はもちろん、回復後も続くさまざまな後遺症についてもメディアで取り上げられ、人々の恐怖をあおっています。
私自身も勤務先で、新型コロナ感染後に味覚障害などの後遺症を持つ患者さんを診察する機会が増えています。この病気に起因する直接的な問題への対処はますます切迫感を増しています。
その一方で、人々の自粛生活が1年以上にわたって続く中で、日本人の中で別の「健康リスク」が顕在化しつつあります。大きな危機感を覚える状況ですが、しかし、“派手なニュース”ではないためか、この点がメディア等で指摘されることは少ないのが現実です。
具体的には、「健康診断」や「人間ドック」の結果数値を診断する中で、血糖値や血圧、中性脂肪の数値が危険水域に達する人が非常に増加しているのです。しかも、これまで正常値(健康)だった人たちが、一気に「要再検査」「要精密検査」に転じるケースが如実に増えています。
明らかに今後、生活習慣病患者、もしくはその予備軍の人数が急増する可能性が出てきている、ということです。
引き金は「急激な体重増加」
すべての疾患の引き金になっているのが、「体重の増加」です。パンデミック後から、患者さんたちの中で最も目立って悪い変化が表れています。
しかも、パンデミック前には問題なく体重を維持していた方でも、半年から1年という短期間に5~6kgも増加するなど、大きく跳ね上がっているのが特徴です。
実際、日経BPコンサルティングが行った調査では、「体重の増加、血圧・血糖値・コレステロール・中性脂肪の検診結果の数値に不安を抱く人が少なくない」という結果が現れています。
また、クロス・マーケティングが行った調査でも、パンデミック以降、4人に1人が「体重が増加した」と答えています。増加分は平均で3.7kg。中でも著しいのが40代女性で、その約4割に体重増加が見られます。