新型コロナウイルスの爆発的な感染増加が続き、新たにラムダ株の国内侵入が確認されるなど予断を許さない状況だ。そんな中、水面下で別の“大きな健康リスク”が現実のものとなりつつある、と警鐘を鳴らすのが、『糖尿病の真実』などの著作で知られる水野雅登医師だ。最前線で患者の治療に当たる水野氏が、コロナ自粛生活の中で生活習慣病から体を守る秘訣を教示する──。(第3回/全3回)
体重増加、生活習慣病を防ぐ手立て
コロナ禍の自粛生活が1年以上続き、体重がどんどん増えている人が大勢います。その影響で、血糖値や血圧、コレステロール等の数値が悪化し、「生活習慣病予備軍」になっているのですが、そのことに気づいていません。
健康診断で体重増加の指摘を受けても、多くの人は「近々、運動しようと思っています」「再開しようと思っています」と言うだけで、何もしないまま終わります。そして、翌年の健康診断でも増えた体重はそのまま、もしくはさらに増量をしているのに、同じことを口にするのです。
今ならまだ間に合うのに……と医師としていつも考えてしまいます。
行動を変えなければ、健康状態は変わらないか、坂道を転がり落ちるように悪化していきます。自粛や各種制限で失った健康を取り戻す行動をとるため、ぜひ次の2つを指標にしてください。
①血糖値を上げない。血糖値を下げる
②体重(内臓脂肪)を増やさない。体重(内臓脂肪)を減らす
②体重(内臓脂肪)を増やさない。体重(内臓脂肪)を減らす
この実践によって、ダイエットはもちろん、糖尿病や高血圧など、各種疾患の発症リスクを抑え込むことが可能です。
「低インスリン状態をキープ」で勝手に痩せる
そのために具体的に行うべきことを、詳しく見ていきましょう。
まず、「①血糖値を上げない。血糖値を下げる」です。これを実現する最大の一手は、「低インスリンを保つ」ことです。これは、糖尿病だけでなく、血管を守ることで高血圧や心臓・血管系の疾患の予防にもつながる「基本」です。
私たち人間の体は、肥満ホルモンである「インスリン」の分泌を必要最小限にしておくのが、最も健康的な状態といえます。体に脂肪をため込む働きを持つインスリンがなければ、身体は脂肪をつけることができません。
逆に、過剰にインスリンが分泌されると、体には実にたやすく内臓脂肪がついていきます。そして、さまざまな生活習慣病を引き起こしたり、悪化させたりします。