※本稿は、南清貴『40歳からは食べてはいけない 病気になる食べもの』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
野菜不足だからといってサプリに頼ってはいけない
栄養素が不足しているというと、サプリメントで補えばいいと安易に考える人がいかに多いことか。そのことに驚かされる。私は基本的に反対だ。
最近では、サプリメントはコンビニでも買えるし、清涼飲料水にサプリメント的な栄養素が添加されているものもある。それだけ一般に広がったのは、安くサプリメントが製造できるからだ。
これまでも、私たち自然の一部である人間は、工業的に作られ、自然から遠く離れてしまったものをいくら食べても生きられないということを述べてきたが、サプリメントも工業製品、加工食品と同じことだ。
昨今、野菜の栄養価が低下してきているのも事実なのだが、その不足分の栄養をサプリメントで摂るという発想になってはいけない。なぜかと言うと、野菜をはじめとする自然界の植物のなかには、まだ分析できていないようなレベルの未発見の物質も含まれているからだ。それが私たちに少なからぬ影響を与えていることは事実だ。
植物が自然に持っている物質には、私たちによい作用をしてくれるものばかりではなく、悪い作用をするものもある。よい面もあるけど悪い面の方が大きいという植物は、長い年月の間に淘汰されてだんだん常食されなくなる。
だから、いま一般に栽培されて売られている野菜というのは、人間にとって効用の方が大きいと認められたからこそ、残ってきた植物と言えるわけだ。
サプリは完璧ではない
数千年前は、薬草も野菜も区別なく、すべて「植物」だったのが、徐々に薬効の強い植物はハーブ、スパイスと分類されるようになっただけで、もともとは薬草も野菜も一緒の分類。つまり、ハーブがそうであるように、野菜にもよい作用もあれば、悪い作用もあるのだ。
しかも、そこに含まれる成分のなかで、私たちが現在の科学で分析できているものは、ごく一部だと考えなければならない。ということは、分析もされないような物質も私たちは野菜から日々摂取しているのだ。
しかし、そのような未発見の物質はサプリメントにはならない。まだ分析できないのだから作れない。でも、そういう人知を超えたところに、私たちの身体にとって欠くべからざる重要な要素も含まれているのだ。
何種類もサプリメントを摂っているから、栄養不足の補いはついています、というのは、単なる勘違い。そんなものでは補いがつかないような物質を、私たちは野菜から摂っているのだ。そこに気が付かなければならない。サプリメントは完璧ではない。