東京五輪は壮大な「手のひら返し」の舞台だった
今回の東京五輪を軽く総括するとしたら、「手のひら返し」がキーワードになるだろう。関連する記事のタイトルをいくつか紹介する。
・東京五輪、反対から熱狂へ…続出した「手のひら返し」が意味すること(現代ビジネス)
・東京五輪「手のひら返し」が驚くほど早かった理由(WEDGE Infinity)
・病院の窓に「もうカンベン」「五輪やめて」訴え続けた院長が憤慨 手のひら返しのテレビ報道に苦言も(AERA.dot)
・【松井一郎 維新伝心】日本のメダルラッシュに…東京五輪「開催反対」メディアや政治家が手のひら返し(ZAKZAK)
・『バイキング』、批判続けた五輪報道“手のひら返し”釈明? 伊藤アナ「選手へのリスペクトは共有」発言が物議(リアルライブ)
このように「手のひら返し」にまつわる記事は多数あるが、今回、突っ込まれまくったのはなんといっても立憲民主党の蓮舫参議院議員だろう。同氏はかつて民主党政権下でおこなわれた事業仕分けで「2位じゃダメなんですか?」と発言し、物議を醸した。それからというもの、スポーツの試合で日本人選手が優勝したりすると、「蓮舫さんは2位でもよかったんでしょ?」などとツイッターで揚げ足を取られることが定番になっていた。
今回の五輪では、7月25日にスケートボード(ストリート)の堀米雄斗選手が金メダルを獲ったときに「堀米雄斗選手、素晴らしいです! ワクワクしました!」と蓮舫氏がツイート。これに猛烈なツッコミが寄せられた。多くは揶揄するものだった。
五輪終了後、また「手のひら返し」が起こる
奇遇ながら、私が翌26日に出演した「ABEMA Prime」(ABEMA)のテーマのひとつが「批判はどこへ“五輪報道一色”は手のひら返し?」だった。MCの小籔千豊氏は「中止、中止といっている人らは、ホンマにブーメラン。わかって投げているのかなと思うくらい」と述べていた。私も見解を問われたので、こう答えた。
「蓮舫さん、ようやく“こっち側”に来てくれたか、と思いました。これからの五輪を楽しんでいただきたい」
こうした手のひら返しに対するツッコミはSNSでよく見かけたが、たとえばツイッターユーザーの「マンポジMamposi」氏(@dann_swano)は「感動をありがとうチキンレース」を五輪開幕前から提唱していた。五輪に反対していた著名人たちが開幕後、どんな反応(変節)を見せるのか──誰がもっとも早く五輪競技の結果を喜んだり、「感動をありがとう!」的な発言をしたりするか、候補者を挙げてメダル獲得競争のような体裁にしたのである。五輪4日目に金・銀・銅メダルが決定し、同氏は次のようにツイートした。
陥落の気配はなさそうでしたが、TVで五輪見ているとアップしてから一気にまくってきました
というわけでレース結果は
金 薬丸裕英
銀 東国原英夫
銅 モト冬樹
となりました。おめでとうございます!
このように、五輪期間中は報道や著名人の「手のひら返し」を生温かく鑑賞する余裕がネット上にも生まれ、世間も五輪ムードで明るさを少し取り戻したような気配があった。しかし、五輪が終わった途端、メディアは再び論調を「コロナ煽り」に完全に寄せてきた。そのほうが数字は取れると判断したのだろう。