「娘がひきこもりがち」50代ベテラン女性社員の相談
今年の1月に産業医面談にきたAさんは、勤続20年以上の50代ベテラン女性でした。高校2年生になる次女が部屋に引きこもりがちで、昼夜逆転生活をしている。最近は遅刻や欠席もあり、学校生活や大学受験を思うと心配だという相談でした。
Aさんは、職歴の長さからも、社内でそれなりの地位にあります。人間関係のストレスにはさほど晒されないポジションにあり、昨年の人事評価も上々で、仕事に関してはメンタル不調になる原因はなさそうでした。が、最近は娘に関することで漠然とした不安に急に襲われ、仕事が手につかなくなることもあり、さらに動悸を感じることや睡眠障害が現れてきているようでした。
産業医面談では、まず娘さんについてカウンセリングを主体とした治療を受けることを提案し、Aさんにも医療受診と定期的な産業医面談を提案しました。また、娘さんがカウンセリングを受けた後は、嫌がらない範囲でどのような話をしたのか、いつでも聞かせてほしいと娘さんに伝えるようにお願いしました。そして、娘さんから話があった時は、アドバイスはせずに黙って聞くことに徹すること、最後には「話してくれてありがとう、応援したい、何かできることがあれば言ってほしい、またいつでも話を聞かせてほしい」とだけ伝え、自分の意見等は絶対に言わないことを約束してもらいました。
実は在宅勤務でストレスを抱えていたAさん
その後数カ月間、Aさんは毎月産業医面談に来てくれました。そこで分かったことは、Aさん自身、コロナ禍での在宅勤務にかなりストレスを感じていることでした。
人と話すことが好きなAさんは、職場で日常的にしていた同僚たちとの雑談が無いことに寂しさを感じていました。また、部下への指示もメール等のテキストベースとなり、ニュアンスが伝わりきらないもどかしさや、部下の仕事ぶりや部門としての進捗状況を一見して把握できないことに不満があったようです。知らず知らずのうちにイライラした表情や乱暴な口調になっていたことを、最近、仲のいい同僚に指摘されたとのことでした。