アフィリエイターの売り上げの9割が法人
こうした違法広告は、アフィリエイターや広告代理店が作成している。
「アフィリエイター」といえば個人のイメージが強い。しかし、こういった広告を作っているアフィリエイターは、あなたがイメージしているものとは、おそらく少し違う。
6月10日、消費者庁主催の「アフィリエイト広告等に関する検討会」が開かれた。この会合は継続的に開催され、令和3年中をめどに結論を出す予定になっている。
この検討会ページには、会合で使われた資料がアップされている。その中の「資料4 アフィリエイト広告をめぐる現状と論点」に、下記の記述がある。
「アフィリエイターの数は個人が圧倒的に多いが、売上高でみると、逆に法人が8~9割を占める」とある。現在のアフィリエイト業界では、個人は力を持っていない。一般の人が目にするアフィリエイト広告の多くは、法人が作ったものだ。
法人格を持つ会社が、たくさんの資金を使ってアフィリエイトサイトを作成・運営し、大きな金額を稼いでいる。
残されたドル箱「アドアフィリエイト」
5年ほど前まで、多くのアフィリエイターは、Googleの検索結果上位を狙うことを基本戦略としていた。自然検索結果からたくさんのユーザーに流入してもらい、商品を紹介し、報酬を得る、というものだ。
しかし、近年はアフィリエイトサイトの検索順位は下落する傾向にあった。そのため、この手法は通用しづらくなっていた。アフィリエイト業界から去った個人アフィリエイターは多い。
この状況を経て、注目が集まってきた手法がある。「アドアフィリエイト」だ。前述のTogetterの広告枠を使った手法もこれにあたる。
アドアフィリエイトでは、アフィリエイターがニュースサイトなどの広告枠を買って自サイトにアクセスを集め、アフィリエイト報酬を得る。この手法は、先ほど挙げた消費者庁の資料にも載っている。
アドアフィリエイトの利点は、結果がすぐ出ることと、規模の拡大がしやすいことだ。ただ、金銭的リスクが大きいという欠点もある。
アドアフィリエイトでは、まずアフィリエイターが広告枠仲介会社などの広告枠を買う。そして、その広告枠に、自社のアフィリエイトサイトへのリンクを表示する。
アドアフィリエイトでは広告枠を買うので、お金はかかるが、閲覧者を集めるのは簡単だ。そして、アフィリエイトサイトで紹介している商品が売れれば、報酬が支払われる。
利益が出ることが確認できたら、アフィリエイターは広告枠を買う予算を増やし、規模の拡大を行う。商品がたくさん売れれば、多くの報酬が支払われる。これがアドアフィリエイトの利点だ。
一方で、アドアフィリエイトの欠点は、赤字が出る可能性があることだ。
アドアフィリエイトの場合、最初に広告枠を買う必要がある。そして、商品が売れなければ、広告枠を買ったお金を回収できない。その場合は、赤字になってしまう。