インターネット広告の市場が拡大を続けている。その一方で、違法なネット広告も増えている。違法広告の実態に詳しいデトリタスの土橋一夫社長は「いまのネット広告は過激化するほど儲かる。しかも違法広告への罰則が軽いため、歯止めが利かない。消費者が身を守るには『ネットでは買わない』しかない」という――。

コロナ禍でも膨張し続けるインターネット広告市場

インターネット広告市場が拡大を続けている。

電通の調査によれば、2020年、インターネット広告市場は2.2兆円を超え、テレビなどのマスコミ媒体の市場規模と並んだ。

出典=「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
【図表1】インターネット広告市場の規模

2020年は感染症の影響により、マスコミ媒体等を含めた広告費全体は減少している。その中で、インターネット広告市場は成長を続けた。

筆者は、この「インターネット広告市場の成長」に懐疑的だ。なぜなら、違法な広告があまりにも多いからだ。「拡大」というより「水ぶくれ」という表現の方が実態に合うのではないか、と筆者は考えている。

今年5月、第一三共ヘルスケアグループの化粧品ブランド「ブライトエイジ」で、不適切な広告が出稿されていた、との報道があった。広告出稿側もそれを認め、謝罪している。

また、7月4日には大正製薬グループのスキンケア商品「Shirosae」でも不適切な広告があった、との報道があった。Shirosaeの販売元は取材に対し「当該広告は配信停止した」と答えている。

しかし、Shirosaeの違法広告は、まだ出ている。筆者が著名サイト「Togetter」を見ていたところ、ツイートまとめの下の広告エリアに、違法広告へのリンクがあった。

togetterに掲載されていたShirosaeの違法広告。
画像=筆者提供
Togetterに掲載されていたShirosaeの違法広告(キャプチャ取得日時:2021年7月17日15時33分 ※赤枠線とぼかしは筆者加工)

飛び先ページは下記のような表示であった。

違法広告のリンク先。キャプチャ取得日時:7月17日15時39分
出所=https://whithkins.com/srse-f2ank-03-ta01/
違法広告のリンク先(キャプチャ取得日時:7月17日15時39分)

このShirosaeの広告ページにも違法表現があった。下記に挙げる。

Shirosaeの広告ページに掲載されていた違法表現
出所=https://whithkins.com/srse-f2ank-03-ta01/
Shirosaeの広告ページに掲載されていた違法表現(キャプチャ取得日時:7月17日15時39分)

このキャプチャ部分の表現では、水分量の多い他社化粧品を誹謗している。これは、薬機法で禁止されている「他社誹謗」にあたる違法表現だ。

インターネット広告には怪しいものが多い。そのことには、おそらく多くの人が同意するだろう。今回のこの報道では、大手製薬企業グループまで、違法広告に手を染めていることが明らかになった。そして、事後の対策も十分ではなさそうだ。