いまや著名人はYouTubeで多額の広告料を稼げるようになった。しかしその中には悪質な広告がまぎれている。違法広告の実態に詳しいデトリタスの土橋一夫社長は「業界の構造として、違法性の高い広告が野放しになっている。視聴者を守るために、ユーチューバー側にも悪質な広告案件を排除する責任があるはずだ」という――。(第3回)
YouTubeには「違法の疑いがある広告」が多い
総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、10代から60代の日本人のYouTube利用率は、2020年時点で85.2%となっている。いまや多くの日本人にとって、YouTubeは日常生活に溶け込んでいる。
一方で、YouTubeには、問題のある広告が大量に流されている。毛髪や体形などを強調したコンプレックス刺激型広告、怪しい投資の広告、副業に関する情報商材の広告……。そこには虚偽広告によって行政処分を受けた事業者の広告も含まれる。
YouTubeは基本的に無料で使えるサービスだ。当然ながら、広告が表示されるのは仕方がない。しかし、あまりにも大量に流れる不快な広告にへきえきとしている人は多いだろう。
筆者は、独自にYouTubeの広告を記録している。YouTubeの「不快な広告」は、不快であるにとどまらず、「違法の疑いがある広告」であることも多い。
コンプレックス刺激型広告のほとんどは、美容や健康に関する商品の広告だ。それらの広告は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称「薬機法」)」という法律で、表現に細かな規制が定められている。
再生回数が数百万回に達しているようなYouTube広告にも、違法性の高い表現がたくさん見つかる。よくある表現は「他社誹謗」「権威表示」「体験談表示」などだ。