「昼も夜もデリバリー、テイクアウト対応」で売上を取り戻す

コロナで完全に売上のなくなった居酒屋「九鬼水軍」は、別の形に業態転換することにしました。飲食店をベースにしながらも、テイクアウトやデリバリーもしっかりできるお店です。

どのようなお店にするか? を考えていくなかで、「ハンバーグ」というキーワードが出てきました。市場の大きいもの、多くの人が食べられるものをやっていこう、でハンバーグ(肉)を選び、それに特化したお店で行こうと決まったのです。

次に決めたのが価格帯です。600~700円でハンバーグ弁当、800~1000円のステーキ弁当、それも炭焼きでやりたい。ハンバーグも牛100%の、ガツンと肉肉しいものに。「肉」「炭焼き」などのキーワードが出て、そこから炭焼き台など必要なものを整えていきました。

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提供=「社長online」
目玉メニューに決めた、炭焼きのハンバーグ

また、肉といっても部位を指定すると価格が高くなり、こちらが希望する価格では仕入れられないので、木材で言えば端材のような、少しだけあるいろいろな部位を肉の卸売業者からまとめて買うことで、相場より安く仕入れられました。

ハンバーグ、ステーキに使えるもの以外の部位は、バラバラなことを活かして、「牛串」として売り出す形です。

こうして11月にオープンしたのが「かむら精肉店」です。

1.イートイン
2.ランチ
3.テイクアウト
4.デリバリー

の4つの機能を、1拠点にて実現する形です。

営業形態も、時間に応じて変えています。

昼はランチとテイクアウトが中心。昼は「テイクアウトをやっている」「弁当を売っている」とわかるディスプレイにしています。夜は「60分500円でレモンサワー飲み放題」と提灯やのれんを出し、2~3人の少人数の短期滞在客を呼び込む形です。

業態の大転換でコロナ前の売上を達成

業態を転換した結果、12月の売上は500万円を突破しました。これは、コロナ前の店舗、九鬼水軍のときの前年同月の売上と同程度です。

むら精肉店の昼の営業スタイル。テイクアウトの弁当を販売しているとひとめでわかるディスプレイ
むら精肉店の昼の営業スタイル。テイクアウトの弁当を販売しているとひとめでわかるディスプレイ(提供=「社長online」)

2020年の12月はコロナの影響で、忘年会売上はまったく上がらないときでしたが、忘年会で大きな売上を立てていた2019年12月の九鬼水軍の数字に並んだのは、非常に大きな成果でした。

「売上がついてくるまでは家賃助成、持続化給付金、雇用調整助成金など、もらえるものはすべてもらいました。正社員の料理人を失わない、解雇しないで済むように、もらったお金はすべて従業員への給与に充てています。ほかにも賃料を大家さんが考慮してくれて、なんとか回せる形がつくれました」(寺村社長)