奈良駅前などで4店舗を展開する海鮮居酒屋「九鬼水軍」は、緊急事態宣言で昨年4月の売上が前年同月比で6%となった。つまり94%も売上が減った。しかし大胆に業態を変えたことで、いまではコロナ前より好調だという。船井総合研究所のウェブメディア「社長online」から紹介する——。
緊急事態宣言で倒産寸前に追い込まれた
緊急事態宣言に伴う時短営業要請などで、依然として苦しい状態が続く飲食店。
1回目の緊急事態宣言が出されていた2020年4月。売上が前年同月比94%減まで落ち込み、倒産も時間の問題というくらいに追い込まれた居酒屋がありました。
そのお店は、海鮮系総合居酒屋「九鬼水軍」。ティラドルチェが運営し、奈良県に4店舗展開しています。団体などの宴会向けの店舗で、このお店は今回の新型コロナウイルスにより、大打撃を受けました。
ティラドルチェのお店はどこも、奈良駅の近くの観光地にあります。団体や家族連れなど、ある程度の規模の宴会に対応するスタイルで、インバウンド需要もあり、コロナ前は大きく伸びていました。
しかし、コロナで状況は一変。コロナの感染拡大の報道が増えるにつれて、キャンセルが出始めたのです。
メインターゲットの家族連れ客はピタリと止まり、インバウンド客も消失しました。緊急事態宣言が出たあとはまともに営業もできず、2020年4月の売上は前年同月比94%減と、壊滅的な結果になったのです。
「どうしよう、どうしよう……」
「そのときはただひたすら『どうしよう、どうしよう……』と思っていました。お店は営業できないので、手の空いていたスタッフで、弁当のテイクアウト販売くらいは始めていましたが、売上も微々たるもので、閉店も視野に入り始めていました」
ティラドルチェ社長の寺村聡志氏は、当時を振り返り語ります。