「欧州が再生エネや水素なら、日本はアンモニアで対抗」

アンモニアはCO2を出さないことに加え、常温で運搬できる。水素がマイナス250℃超の低温で運搬する必要があるのに比べて利便性が高い。アンモニアはこれまでは肥料として使ってきたが、それを燃料に用途転換しようというのだ。

アンモニアは日本に近いインドネシアなど東南アジアや豪州に多く埋蔵されている。親日的なサウジアラビアなども脱石油の観点から日本の技術を借りてアンモニアの生産・輸送の実証実験を始めた。「欧州が再生エネや水素で攻めてくるなら、日本は世界的にも多く扱っているアンモニアで対抗できる」(大手商社幹部)との声も上がる。アンモニアを発電燃料とすれば、コスト的にも水素に十分対抗できるというわけだ。

夜間にアンモニアと窒素施肥の製造を行う化学プラント
写真=iStock.com/saoirse_2010
※写真はイメージです

再生エネによる発電に限界がある中で、その穴を埋める電源をどうみつけるか。アンモニアはポスト・LNGになる可能性を秘める。石炭から石油、石油からLNGに発電燃料を日本は切り替えてきた。50年前に、扱いにくいLNGを苦心の末に発電用や一般家庭にまで広めたのは日本だ。LNGから水素に変える技術も日本にはある。

自国に有利なルールを世界標準として形成していく能力に優れる欧州にただ追従するのではなく、エネルギー事情の地域性を訴えたうえで、日本独自の「脱炭素」をどうやって世に問うか。自動車業界だけでなく、政府もそこに思いを致すべきだろう。

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