「新年度こそ英語をマスター!」と、毎年春に勉強をスタートするものの、結局続かず挫折する社会人があとを絶たない。これに対し、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は「多くの日本人が間違ったやり方に陥っている」と指摘する。「社会人は独学でしか英語を学べない」と喝破し、「どこに集中し、どこで手を抜くか」限られた時間の中で外国語を習得するための方法を教示した新著『「超」英語独学法』から、目からウロコの方法を特別公開する──。(第2回/全3回)

※本稿は、野口悠紀雄『「超」英語独学法』(NHK出版新書)の一部を再編集したものです。

社会人の英語は「独学」でしか学べない

社会人が勉強するためには、社会人向けの大学院や専門学校などに入学する必要があるだろうか? 英語の勉強のためには英会話学校に通う必要があるだろうか?

日本人には、そうしたほうがよいと考えている人が多い。しかし、私は、必ずしも学校に通う必要はないと思う。というより、社会人の勉強は、学校でなく独学が基本だと思う。基礎教育の場合には学校に通うのが普通の方式だが、社会人の場合はそうではない。

英会話学校では、画一的なことしか教えられないからだ。社会人が学ぶべき内容やレベルは、人によって大きく違う。ビジネスパーソンにとって必要なのは専門用語であり、これは一般の英会話学校では教えていない。

独学は、学校の代替物ではない。費用を節約するためにするものでもない。自分に合わせた勉強をするには、独学によらざるを得ないのだ。

ヘッドセットで通訳
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独学するための条件が整ってきた

外国語の勉強のために英会話学校に通わなくとも、自分で勉強を進めていくことは十分できる。自分で目的を持って調べようとすれば、書籍を購入したりウェブサイトを検索したりすることによって、さまざまな資料を手に入れることができ、勉強を進めることができる。

昔は教材がなかった。とくに音源がなかった。いまでは、英語教材はウェブにいくらでもある。社会人にとって必要なのは、専門分野の英語だ。この教材は、ウェブに多数ある。

また、自動翻訳で外国の文献を読めるようにもなっている。また、図形認識機能が向上し、外国語の書籍を読み上げさせることも容易になった。こうして、独学がやりやすくなった。

コロナで在宅勤務が増えた。これまで満員電車で通勤していた時間帯を、勉強のために振り向けることができるはずだ。これを機会に、インターネットを用いた独学を始めるべきだ。これが、ニューノーマル時代の勉強法だ。