「新年度こそ英語をマスター!」と、毎年春に勉強をスタートするものの、結局続かず挫折する社会人があとを絶たない。これに対し、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は「多くの日本人が間違ったやり方に陥っている」と指摘する。「社会人は独学でしか英語を学べない」と喝破し、「どこに集中し、どこで手を抜くか」限られた時間の中で外国語を習得するための方法を教示した新著『「超」英語独学法』から、目からウロコの方法を特別公開する──。(第1回/全3回)
※本稿は、野口悠紀雄『「超」英語独学法』(NHK出版新書)の一部を再編集したものです。
ドメスチック派が幅を利かせた時代の終焉
ビジネスパーソンにとっての英語の重要性が高まっている。昇進のために英語を必要とする会社が増えているし、会議を英語で行ったり、社内公用語を英語にしたりする会社も増えている。中途採用の際に英語力を重視する会社も多い。
こうした状況は、従来の日本の会社の状況に比べると、大きな変化だ。
かつて、日本の企業や官庁などで幅をきかせていたのは、「マルドメ」(「まるでドメスチック」)派だった。伝統的な組織では、とくにそうだった。英語が必要なのはごく一部分の仕事だと考えられていた。
マルドメ派は、英語が話せる人間を、「英語だけはできるが、中身のないキザな奴」と言って目の敵にする。だから、「英語が話せると肩身が狭い」という場合も多かった。それだけならまだよい。「英語屋」「国際派」とみなされて、本流から外されてしまうことまであった。
インターネットで英語の重要性が決定的になった
こうした状況はしばらく前から大きく変わっている。どんな部署にいても英語が必要であり、英語ができないと仕事にならないという時代になった。つまり、日常の仕事で英語が必要な時代になった。
だから、「英語ができると出世街道から外れてしまう」のではなく、逆に、「英語ができないと出世街道から外れてしまう」時代になった。
もしあなたが勤めている会社が、「英語ができなくても構わない」という会社であれば、その会社には未来がないと言える。
インターネット時代には、英語の重要性は決定的になる。インターネットで海外から情報を収集するにも、メールで海外に向けて発信するにも、使われるのはほとんどの場合に英語だからである。
このような変化は、「在宅勤務」の広がりによってさらに加速するだろう。