映画やドラマを観ても学べない…

専門用語の多くは、名詞である。しかし、名詞だけを並べても、コミュニケーションは成立しない。それらを一般的な文脈の中に位置づけなければならない。

ただし、ここで必要とされる英語表現も、日常会話とはかなり違う。「会議用表現、討論用表現」とでも言えるものがあるのだ。

これは、自分の考えを説明し、相手の発言に対して意見を述べ、あるいは反論する際の言い回しである。「Aさんの発言は、一般的には正しいと思う。しかし、違う見方もある。それについて説明したい。ポイントは3つある。第1に……」というような表現だ。

こうした言い回しは、外国の恋愛映画や家族ドラマをいくら見ても、習得できない。小説を読んでも、駄目である。そうしたシチュエーションでは登場しない言い回しだからだ。これらを学ぶには、ラジオやテレビの討論番組を聞いたり見たりするのがよい。

専門家にとって口頭のコミュニケーションで必要な英語は、ほぼ以上に尽きる。つまり、テクニカルタームを熟知し、それらを「討論用表現」で結合できればよいのだ。

これは、英語のごく一部でしかない。だから、自分の専門の世界を離れると、途端にコミュニケーションができなくなる。相手の言っていることが分からないし、自分の意志も適確に表現できない。病気になっても症状を言えない。しかし、仕事に限れば、多くの場合に、それで何とかなる。

個々の文字は、開いた本のページから魔法のように飛ぶ
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英語教材も英会話学校も専門用語を教えられない

同様に、ビジネスパーソンが使う英語で重要なのは、専門的な用語、専門的な表現、あるいは専門的な言い回しである。必要なのは、これらの勉強だ。

自分が話す場合にもこうした専門用語を使わなければならないし、相手がこうした用語を使ったときにも、それを理解しなければならない。

テレビやラジオの英会話番組で勉強しても、あるいは英会話学校に行っても、専門用語を勉強することはできない。したがって、ビジネスパーソンが仕事で使える英語を勉強するには、自分で勉強するしかない。

これは、英会話学校に限らない。「ビジネス英語」という類の本をよく見かけるが、ここにあるのは、「ビジネスに関連のあるシチュエーションで話されている英語」という程度のものであって、実際のビジネスで使えるレベルのものとはほど遠い。

一般的な英語の参考書が仕事上のコミュニケーションで実用にならないのは、このためだ。「ビジネス英語」と限定してさえ、一般的すぎて駄目なのだ。英語学校に通って正確な発音とアクセントをマスターしても、それだけでは仕事にまったく役立たない。