時短要請に応じた飲食店は国から協力金を受け取れる。その金額は「一律6万円」のため、小さい店は恩恵を受けるが、大規模店はコストに見合わない。どうすれば不公平を解消できるのか。東京大学大学院の肥後雅博教授は「1店舗1日当たりの『付加価値額』でみればいい」という。ネット危機管理コンサルタントの田淵義朗さんが取材した――。
原宿
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時短協力金一律6万円が生んだ不公平感

1都3県に出されていた新型コロナウイルス感染対策の緊急事態宣言が、3月21日に一斉解除となった。午後8時までの飲食店などへの営業時間短縮の要請は「午後9時閉店」に緩和されたものの、3月末までの期限は4月21日までに延長されることになった。

そこで注目を集めているのが、時短営業協力金の今後だ。

一律6万円(店舗の規模にかかわらず)と定められたことで、「協力金バブル」で潤う店と、時短で赤字になる店で不公平感が生まれた(※)

※宣言解除を受けて一律4万円に引き下げられたが、継続される見込みだ。

従業員を雇わず一人で営業しているスナックやバーでも、月に180万円近い協力金が出るのだ。一方、従業員を数十人単位で雇っている大型飲食店では月180万円では焼け石に水となる。批判の声があがるのは当然だろう。

協力金6万円はどうして決まったのか

昨年11月時点での協力金は1店舗あたり最大2万円だった。ところが「それでは営業補償にならない」といった声があがり、協力金は4万円に。さらに今年1月に再び緊急事態宣言が出ると、6万円に引き上げられた。当初の3倍だ。

なぜ6万円に引き上げたのか。内閣官房の新型コロナウイルス対策室に聞いたところ、こうした説明だった。

「そもそもこの協力金は時短要請に対するもので、経済補償ではありません」

どういうことか。担当者は「あくまで感染防止が目的であり、苦境の飲食店を救済するための支援ではないからです」と説明する。飲食店での会話、酒席が感染を広げている可能性が高いので、その協力に対する一種の奨励金という理屈だ。つまり協力の「ご褒美」なので、「補償」「補助金」ではないというのだ。