ではどうするか。肥後教授は「飲食店が税務署に申告している「給与所得の源泉所得税納付書」に記載された「従業員に支給した給与総額」を利用すれば、付加価値額の大半を占める人件費をリアルタイムに近いかたちで把握できる」という。
飲食店は、毎月従業員の給与から所得税を天引きし、従業員が10人以上であれば毎月、10人未満では年に2回、天引きした所得税を「納付書」とともに税務署に申告・納付している。このやり方なら、従業員数や従業員に支給した給与総額を水増しして協力金を不正に取得することは起きにくいといえる。従業員数や給与総額を水増しすれば、税金の納付額が増えてしまうからだ。
知事は責任を国に転嫁せず、第4波襲来に備えた準備をせよ
当面は、協力金の申請の際に、飲食店が持っている「給与所得の源泉所得税納付書」の控をエビデンスとして提出してもらうのが現実的である。
しかし、より効率的な給付を実現するには、税務署の持っている給与所得の源泉所得税納付書のデータを、協力金を支給する都道府県のデータベースにどうやってリンクするかが課題となるだろう。これが実現すれば、飲食店だけでなく、打撃を受けているすべての事業所に対して有効な方法となる。
とにかく今の協力金では、大規模店の逸失利益を補填できない。そこで働く従業員の就業機会も失われていく。全体の8割にのぼる約50万店舗の零細店舗の時短協力金を引き下げ、大規模店への支給額を上げることだ。
そして時短営業の在り方、飲食の仕方についてもガイドラインを徹底し、時短以外に感染対策で効果を上げる方法を見つけ出すべきだ。
「協力金バブル」を繰り返さないこと。それがコロナ禍の日本経済を立て直す第一歩になるはずだ。