マッチングアプリで理想の結婚相手に出会うことはできるのか。夫婦関係研究家の岡野あつこさんは「この1年でアプリ婚の離婚相談が増えた。アプリ婚のリスクを知ることが大切だ」という――。
最初から対面の出会いとは違う問題
新型コロナウイルスの出現によりステイホームが常態化してから、一年が経った。最近はコロナ前には少なかったテーマの離婚相談が増えている。
そのひとつが、マッチングアプリによる結婚や離婚の相談案件だ。以前と比べ、生活様式にさまざまな変化をもたらした新型コロナウイルスは、男女の「出会い」にも影響を及ぼしていることを実感する。
相談者のなかでマッチングアプリを利用して結婚した、あるいはこれから結婚を考えているという人に対し、「なぜマッチングアプリを活用しようと思ったのか?」という質問をすると、「新しい出会いを求めて」「将来への不安から」「パートナーが欲しかった」といった回答をする人が多い。
ところが、せっかくマッチングアプリを通じて結ばれた縁にも落とし穴はある。対面で出会い、共に過ごす時間を重ねていくなかで育む恋愛関係とは違う要素がトラブルを生むことも少なくない。
実際にあったこんなケースで見てみよう。
離婚→マッチングアプリに登録→4カ月で再婚
【CASE1】前夫を見返すために再婚を急ぎすぎて後悔したケース
Aさん(30代)がはじめて相談に訪れたのは1年前。愛人と浮気に走った夫との夫婦問題の相談がきっかけだった。当時、Aさんは夫に対して愛情が残っていたものの、結局は相場より多額の慰謝料と財産分与の条件に合意して離婚を選択。まもなく3歳になる長男は母親のAさんが引き取ることになった。
まずまず順調に新しい人生のスタートをきったように見えたAさんだが、心は前夫への復讐心で燃えていたという。「とにかく別れた夫を見返したくて、彼より早く、彼よりいい条件の男性と再婚をしたかった」と話すAさんは、離婚後まもなくマッチングアプリに登録。数人の男性と出会った末、離婚して4カ月目に再婚したとのことだった。