どんな新人でもオールラウンドに対応できる“金八課長”

それを防止するために最初の配属先の上司との相性をチェックする人事部も増えている。広告会社の人事部長はこう語る。

「たとえば親分肌で無理難題を言ってくるような上司の下にストレス耐性が弱い新人を入れると、すぐにやめてしまうリスクが高まる。そうしないために新人がどんなタイプなのか、何事も細かい性格なのか、ストレス耐性はどうなのかを適性検査をもとに分析する。その上で配属先の上司のタイプを見て、この人であれば新人との間でトラブルを起こす確率は少なくなるだろうと考えて配置をしている」

上司の中には部下育成に長けた人もいる。人事部内ではどんな新人でもオールラウンドに対応できる管理職を“金八課長”と呼んでいる。

「上司が話すのは30%、部下に70%話をさせる対話の基本を踏まえ、相手の価値観や考え方をじっくり聞いた上で仕事の意味を丁寧に教えることができる人。困ったときは金八課長のところに送るようにしている」(人事部長)

もちろんこの上司は将来の役員候補と目される人でもある。しかし多くの新人をこうした上司の下に送り込むには限界がある。昔から「最初の上司で将来が決まる」と言われたものだが、巡り会えるかどうかは運・不運がつきまとう。“上司ガチャ”問題の解決は永遠の課題であるだろう。

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