ワークショップがあるだけで、勉強会は「無理」と思う

恐怖心をうまく活用して行動し、壁を破った……と言えばちょっといい感じに聞こえるけれど、実際、そんなにかっこいい話ではない。

基本的には、僕は怖がりで、怖がりゆえに行動できないことが多いのだ。

たとえば、興味のある分野の勉強会があるとする。講師の著作も読んだことがあり、とてもためになった。参加したいな、と思う。

でも、その勉強会の予定を見ると、後半に「ワークショップ」と書いてある。

ワークショップってことは、みんなで議論をするってことだよな?

議論の前に「アイスブレイク」とか言って、隣の人と「どこから来たんですか?」なんて会話しなければいけないんだよな?……。

想像しただけで、「無理」と思ってしまう。初対面の人と話すのが恥ずかしいのだ。

ソフトバンクアカデミアだって、はずみで申し込んだものの、最初に面接があるとわかったので、それが嫌で行くのをやめようとした。そのときは家族に「バカじゃないの。申し込んだんだから行ってくればいいじゃない」と言われて、なんとか面接に行った。

ワークショップで議論を交わすチーム
写真=iStock.com/Jonathan Erasmus
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1回目の面接は通ったけれど、すぐに2回目の面接がある。ここでまた怖くなった。2回目の面接の日程を調整してもらうために、運営スタッフに連絡しないといけないのだが、これがどうしてもできない。

このときは、「大丈夫ですか? まだ間に合いますよ」とソフトバンクから親切な連絡が来たので、そこまでしてもらったのだから……というので面接を受けることができたのだ。

四苦八苦するうちに、自分を動かすノウハウが溜まっていった

僕は極端に怖がりで、動けない人間なのだ。

でも、仕事をしていれば動くべきときには動かざるを得ない。動かないとまずいこともある。だから、動けない自分をなんとか動かすために、あれこれと四苦八苦する。そうこうするうちに、自分を動かすためのノウハウが溜まっていって、それを『0秒で動け』(SBクリエイティブ)という本に書いた。

僕は、0秒で動ける人だからこういう本を書けたのではなく、動けない人間だから書けたのだ。

ここでは、ヤフーにはじめて出社する前にも、やっぱり僕が「怖い、行きたくない」という状況に陥ったことを話しておきたい。入社2日目からみんなに挨拶をして、結局うまくいった、という話には前段階がある。

48歳で、新しい環境で働き始めるのは怖かった。

特に、宮坂社長に誘われて入社して、社内のリーダー開発を担当することになっていたわけだから、プレッシャーも強い。

「俺、ヤフーに入るんだよな。で、Yahoo!アカデミアっていうのをやるんだよな」と、改めて考えると、不安で仕方がない。社内では「(社長の)宮坂さんが誘って、引っ張ってきた人らしいよ」なんて言われてるはずだ。どうしよう。