日経平均株価が3万円の大台に乗った。このまま株価は上がり続けるのか。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史氏は「ワクチン接種が開始され景気が良くなれば長期金利は上昇する。それは株価バブル崩壊の前触れだ」という――。
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「株を買いたいのなら、こわごわと買ってくださいね」

2月15日、日経平均が30年半ぶりに3万円台に乗せた。株価だけを見ると1985年から90年にかけて発生したバブル期の動きと似ている。今後に関して言えば日経平均は、今後もそれなりに上昇すると私は思っている。

ただ、私自身は今、日本株を保有していないし、今後とも買おうとも思わない。買いたい方には「いつでも飛び降りる体制で、こわごわと買ってくださいね」と忠告をしておきたい。

このコラムでは、なぜそういうコメントになるのか? を詳しく解説し、それでは私が今、どういうポートフォーリオを推奨しているのかも開陳したい。

バブル期との相違

もし日本の財政がここまで悪くなく、また日銀がこれほどまでもメタボになっていなかったら私は「日銀の引き締めが近い。早く株式市場から撤退すべきだ」との忠告を、今、発していただろう。

今の相場はバブル期の末期の様相だ。当時は「日経平均は8万円まで行く」「10万円まで行く」とほぼ全員が強気だった。84年末に比べて89年末の株は約3.4倍、統計には表れなかったが、不動産価格の実態は、10倍程度にまで上昇していた。

その後、明確なる理由なく相場は突然崩れた。あえて契機を探し出そうとするならば、政府が「不動産から生じる損失(=減価償却の計上等による)を他の所得の利益と相殺することを禁止した(=損益通算の禁止)ことくらいしか見当たらない。しかし、それとて相場をあれほど崩すのには弱すぎる理由だ。「相場が上昇しすぎたから破裂した」と結論づけざるを得ない。