「コロナ政争」で相場が下落する可能性も

ジョンソン政権の場合、当初の感染対策が後手に回ったことが致命傷となっている。そのため、就任時の公約通りEUとの通商交渉を決着させたくらいでは、有権者の不平不満は解決できないのだろう。感染状況がひどい英国ではワクチンの接種も進んでいるが、その方法に関してもEU残留派を中心に不満の声が多いようだ。

このように、ヨーロッパでは「コロナ政争」がさまざまな形で激化している。冒頭で述べたように、日本も年内に解散総選挙を控えている。コロナ対応への評価が問われることになるが、一方でコロナ禍は現在進行中の現象であり、その対応を「政争の具」にすることこそ、コロナ対応の遅れにつながってしまう危険性がある。

それにコロナ対応が遅れれば経済運営もままならなくなる。現在、株式市場は歴史的な株高に沸いているが、これは中銀が大規模な金融緩和に努めていることに加えて、政府による巨額の経済対策が期待されていることやワクチンの接種などコロナ対策が進むことへの期待によるところが大きい。その意味で、期待先行の相場が続いている。

各国が政争にふけるようでは一貫したコロナ対応が取れなくなる危険性が高まる。そうした展開を警戒して金融市場が動揺すれば、各国中銀が演出してきた株高もしぼんでしまい、金融不安が経済危機に追い打ちをかけるという最悪の展開になるかもしれない。各国とも今が正念場、与野党とも本来なら政争に耽る暇などないはずである。

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