テレビ業界の収入格差はスタッフの話にとどまらない。出演するタレントのギャラ(出演料)も格差が大きい。

キー局の07年度の有価証券取引報告書を紐解いてみよう。フジテレビ、TBS、テレビ東京の有価証券取引報告書には「出演費」または「ギャランティ」という名目で支出額が明示されている。

フジテレビの場合、出演費は約165億円で、売上高の4.31%。3社の平均では、売上高の3.22%となっている。地上波民放の市場規模は約2兆6000億円だから、この3%が出演費と仮定すると、ギャラの総額は780億円前後と推定される。かなり高額なお金がタレントに支払われているわけだ。

しかし、デビュー間もないタレントは月給5万円程度からのスタートとなることも珍しくないという。当然アルバイトでもしなければ自活できない。給与所得者には、所得税制上、最低65万円は領収書なしで必要経費として認められる給与所得控除があるが、デビューしたてのタレントの給料は、税法が認めている最低必要経費にすら届かない水準なのだ。

ゲスト出演が増えたり、CMに顔を出せるようになっても、月給は20万~30万円程度。キー局テレビマンの収入と肩を並べられるようになるのは、レギュラー番組や大手企業とのCM契約がとれるようになって、やっと、である。競争が激しい芸能界。そこまで辿り着けるタレントは、いったいどのくらいいるのだろう。当然一握りにすぎない。

ようやくCM契約を複数持ち、連続ドラマの主演・準主演を果たすようになれば、基本月給は300万円の域に達する。これで年収3000万~4000万円のレベルだ。07年度の一般企業社長の平均年収は3100万円(企業福祉・共済総合研究所調べ)。当然、中小企業の経営者からは「そんなにもらっていない」という声が上がってこよう。すると連ドラ主演級の大物タレントは年収面で上場・大手企業の社長クラスと推測できる。

主演ドラマ多数のタレントになると、月給は完全歩合制。いくら稼いでいるのか、見当もつかないくらいになる。

(構成=高橋晴美)