景気の低迷によって民間企業の給与やボーナスは減少傾向にある。テレビ局員の高収入は今後も続くのだろうか。その答えは、テレビ番組の内容の“ツマラナサ”と密接な関係にある。

図表3
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図表3

日本における総広告費の市場規模はおよそ7兆円。06年、07年は前年よりわずかながらも増えている。しかし、08年9月のリーマンショック以降、世界経済は悪化に転じ、大手企業の赤字転落が続出している。多額のCM料を負担してきた大手企業の業績低迷で、CM収入が維持できるとは考えにくい。

また、05年には総広告費の5.5%だったインターネット関連の広告費が、07年には8.5%を占めるなど、その存在感を高めている。テレビ広告費は04年以降、タイム、スポットとも減少し、とくに宣伝効果が期待しにくいスポットについて、日本テレビの08年度は前年比1割以上も下落(図表3参照)。インターネット広告費が伸びる一方で、テレビCMは苦戦を強いられているのだ。

テレビ局の営業利益も05年度以降、減少に転じている。フジテレビは05年度には営業利益率が8.5%で、平均的企業の水準である5%を大きく上回っていた。しかし08年度は3.5%と大幅に低下。また、TBSが4.9%、日本テレビも3.7%と軒並みピーク時の水準を大きく割り込んでいる。TBSは04年に行った人事改革がその後の収益性向上に奏功したが、すでにリストラ効果の貯金は使い果たしたようだ。

図表4
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図表4

最も下落率が大きいのはテレビ朝日で、08年度の営業利益は5年前の約15%の水準まで急激に減少(図表4参照)。営業利益率は0.8%で、営業赤字寸前の危険水域にきている。本業で利益が出せなければ対外的な信用が下がる。銀行からの追加融資が認められなくなるなど、経営上の問題が出てくることもあり、営業赤字は避けたいところだ。

CM収入や営業利益の減少はデータを見ずとも、テレビを眺めていればわかる。売れっ子とはいえないタレントが顔を揃えて楽屋話に終始するバラエティ番組、一発屋の芸人がひっきりなしに登場するお笑い番組、ロケの必要がないクイズ番組、過去の映像を使い回して3時間もの長時間を埋め合わせる特別番組など、番組の内容が予算のなさを露呈している。テレビの顔である報道番組も、高給のフリーのアナウンサーがリストラされ、局アナの仕事量がぐんと増えている。