新型コロナウイルスの影響でカラオケ業界が打撃を受けている。経済アナリストの馬渕磨理子氏は、「カラオケボックスは十分な換気がされており、安全性について誤解がある。さらに今後は『歌う』こと以外の用途にも活路が見いだせそうだ」という――。
“カラオケ喫茶”と“カラオケボックス”は全く別物なのに…
厚生労働省ならびに内閣官房新型コロナウイルス感染症対策室は、「カラオケボックスでのクラスターは発生していない」という旨のコメントを出しています。それにもかかわらず、「カラオケで飛沫感染する」というイメージから、カラオケ店舗への客足が大幅に減っており、すでに全国で約1割の店舗が閉店に追い込まれています。
緊急事態宣言が発令されて以降、ほぼすべてのカラオケ店が営業の全面自粛を強いられ、東京都が8月3日から出していた時短営業要請が9月15日に解除されたあとも、復調の動きはなかなか見えない状態です。なぜ、ここまでカラオケ離れが進んだのでしょうか。
「カラオケでクラスターは発生しているでしょ?」。そう思った方がいるかもしれません。しかしクラスターが発生しているのは、「昼カラ」と呼ばれるカラオケ喫茶です。昼間にカラオケを楽しめる飲食店では、事実クラスターが発生しています。昼カラは、高齢者の居場所となっている側面もあり、「唯一の生きがい」と言う人もいます。
昼カラに絡む感染は6月に北海道で発生し、千葉県や石川県でもクラスターが発生。8月には北九州市でもクラスターが発生しています。
カラオケ喫茶は“喫茶店”であって、密室のカラオケボックスとは、そもそもお店の構造が違います。カラオケ喫茶は窓を開けて換気できる建物であり、必然的に換気扇の力は小さくていいわけです。ただ、騒音による近所迷惑を考えると結局窓を閉めることになります。どうしても閉鎖空間になり十分な換気ができないことからも、感染のリスクはかねて指摘されていました。