長引く感染症対策の結果、リーマン以来の業績悪化に

長引く感染症対策の結果、日本の企業はリーマン・ショック以来の業績悪化に落ち込んでいる。

たとえば失業者が急増している。厚生労働省によると、今年1月から9月中旬までに解雇や雇い止めで仕事を失った人はおよそ6万人。5月22日に1万人を超えた後、7月1日に3万人、8月31日には5万人を超えるなど失業者は増え続けている。この失業者数はハローワークが把握できたもので、実際に仕事を失った人はさらに多い。

企業の倒産も深刻だ。信用調査会社の東京商工リサーチによると、1月から8月までに休業・廃業した企業は全国で3万5000社余りと、昨年同期よりも24%も増えている。

新型コロナ対策で感染者は減るが、その分、経済に大きな打撃を与え、社会が歪んでいく。これが防疫措置の難しいところである。

「冬」の南半球ではインフルエンザが流行しなかった

いま新型コロナ対策において一番懸念されているのが、インフルエンザとの同時流行だ。

コロナウイルスもインフルエンザウイスも人の上気道や下気道で増え、とくに気道粘膜が弱くなる冬場に流行する。どちらのウイルスに感染しても発熱、せき、倦怠感などの症状が出るので、医療機関の混乱が考えられる。

このため、Go To トラベルなど人の動きを活発にさせて社会・経済を動かすことに対し、強い危機感を示す政治家や官僚、学者もいる。しかし沙鴎一歩は社会・経済の活性化を第一に考えるべきだと主張したい。なぜなら懸念されるようなインフルエンザとの同時流行など起こり得ないからだ。

新型コロナとインフルエンザのウイルスはともに呼吸器感染症の病原体で、その感染スタイルは感染者のせきやくしゃみで飛び散るしぶきによって感染が広まる。似通った感染症はお互いに強く影響を与えることがあり、同時には流行しにくい。

WHO(世界保健機関)によると、現在冬の南半球ではインフルエンザ感染はほとんど報告されていない。一方、秋口に入った日本のインフルエンザの現状はどうか。厚生労働省によれば、全国5000カ所の医療機関からの定点観測報告が9月6日までの1週間でたったの3人にとどまっていた。これは昨年同時期に比べて1000分の1以下という極めて低い水準だ。