毎日社説は「菅首相は経済活動の活発化に前のめり」と書くが…

もちろん油断は禁物である。高齢者や持病のある人はインフルエンザワクチンを接種し、インフルエンザと新型コロナの重複感染は防いだ方がいいだろう。

新型コロナ対策で、手洗いやマスクの着用、3密の回避が当たり前になるなど私たちの衛生意識は異常なほどに高まっている。外国人の日本への入国の制限も続けられている。その結果、新型コロナとインフルエンザの流行に歯止めが掛かっているのである。

9月20日付の毎日新聞は「新政権のコロナ対策 経済偏重にならないよう」との見出しを掲げてこう書き出す。

「新型コロナウイルス感染症対策は菅義偉政権の最優先課題だ。首相は『社会経済活動との両立を目指す』と強調している」
「大事なのはバランスをいかに取るかだ。だが、菅首相は経済活動の活発化に前のめりな姿勢を示している。かじ取りに懸念が残る」

もちろんバランス感覚は重要だが、いまの菅政権がバランスを欠いて経済活動の活発化に前のめりだとは思えない。前述した赤羽国土交通省の発言を見てもそれはよく分かるはずだ。毎日社説は新型コロナウイルスに脅えているのかもしれない。

毎日社説は「主導してきた観光需要喚起策『Go To トラベル』は、10月から東京都が対象に加わり規模が拡大される。人の移動は感染のリスクを伴う。感染が再拡大した場合は、専門家による分科会の意見に耳を傾け、ブレーキを踏む必要がある」とも指摘する。

だが、感染が拡大したからと言って重症者が急増し、感染死が増えるわけではない。毎日社説は現状に対する分析と認識が足りない。

「かかりつけ医の不安」は取り除くべき

毎日社説はさらに指摘する。

「冬にかけては季節性インフルエンザとの同時流行が懸念される。かかりつけ医には、患者の診察に不安もあるようだ。スタッフの感染を防ぎながら、地域で検査を担う体制作りが欠かせない」

沙鴎一歩は同時流行はないと考えるが、まずはそれぞれの地域ごとで各医師会が音頭を取ってかかりつけ医の不安を取り除くことが望ましい。

「医療体制を確保する必要性は当初から指摘されてきたが、いまだに不安が残る。特に、地方で急激な感染拡大が起きれば、医療崩壊の懸念がある。都道府県を超えた支援体制を確立しておかなければならない」

かかりつけ医の不安の次は医療崩壊に対する懸念。毎日社説はどれだけ心配性なのだろうか。

最後に「厚生労働相に再び起用された田村憲久氏は、検査体制の目詰まり解消などを政府に提言してきた。感染対策の責任者として、実行力が問われる」と毎日社説は書く。

検査はPCR検査だけではなく、抗原検査や抗体検査と臨機応変に組み合わせて実施してくことが肝要だ。毎日社説はそこの主張も欠けている。