酒、パチンコ、スマホ……日本は依存症を放置する国である

依存症はこのように怖い病気なのだが、その認識が日本では低い。

覚せい剤の再犯者に対しても、飲酒運転をやめない(自動車を運転するときでもアルコールがやめられない)人に対しても、ワイドショー番組のコメンテーターは「意志が弱く、人間として欠陥がある」といった発言をすることが多いが、依存症というのは前述のように「意志が壊される」病気で、治療をしない限り、その機能は回復しない。

依存症の認識が低いことの弊害は2つある。

ひとつは、依存性の高いものへのハードルが低いことだ。違法薬物はともかく、アルコール、スマホ、ギャンブルに関して依存症への警戒なしに、ほとんど野放し状態にされている。依存症になるのは意志の弱い人間で、なるほうが悪いから、原因となるものは規制しなくていいと言わんばかりだ。

WHO(世界保健機関)は「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を2010年の5月に承認しており、加盟各国に酒の24時間販売や飲酒シーンを含むCMの自粛などを求めている。しかし現時点では、日本はこの求めをほとんど無視している。

パチンコのように、どの街にもあり、気軽にギャンブルできる国は、日本くらいしかない。スマホにいたっては、中学生に学校に持っていかせるのを容認するくらい、依存症のリスクが省みられていない。

昔の為政者は依存症に危機感を持っていた。

違法薬物にしても、賭博にしても、売る側・開く側を取り締まるだけでなく、使用者・利用者も罪にした。手を出すハードルを上げるためだ。この危険性の認識がなくなったのは本当に恐ろしいことだ。

依存症の認識が低いことのもうひとつの弊害は、依存症が病気でなく、本人の意思が弱いのが対処できる問題と見られているため治療施設が非常に少ないことだ。よって、いったん依存症に陥ると回復がとても難しくなる。違法薬物の再犯が多いのはこうした背景もあるだろう。

このような国だから、君子危うきに近寄らずで、絶対に手を出さないということが最大の自衛になると知っておいて損はない。

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