薬物依存の人は平気で嘘をつく、身の破滅を知りつつやめられない

お酒や違法薬物の依存症のやっかいなところは、耐性ができて「満足」するための量が以前よりどんどん増えていくこと。ギャンブルやゲームの依存でもやはり「もっともっと」とそれ以上のものを求めてしまう。進行性の側面があるのだ。

さらに、依存症の専門家の一致した見解として、依存症に陥ると、まじめだった人が平気でうそをつくという症状が出る。

いったんやめたといって、再びアルコールやギャンブル、違法薬物に手を出した場合でも、顔が真っ赤になっているのに「(酒を)飲んでいない」などと平気でうそをつく。ギャンブルや違法薬物は比較的金がかかるものなので、なおさらその金を得るために嘘をつくことに抵抗がなくなる。

芸能人の場合、違法薬物をやっているのが見つかったら、身の破滅になることは前例からわかっているだろう。しかも、何らかの形で捜査機関からマークされているのに気づいているケースもある。それにもかかわらず手を出してしまうのには、この依存症のメカニズムがからんでいると私は考えている。

過去10年の違法薬物の有名人逮捕者の共通点

この10年を振り返ると、実に多くの大物芸能人が違法薬物で逮捕された。

俳優・伊勢谷友介が2016年7月27日、東京・銀座の歌舞伎座で行われた映画『ジャングル・ブック』のジャパンプレミアに出席。(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
俳優・伊勢谷友介が2016年7月27日、東京・銀座の歌舞伎座で行われた映画『ジャングル・ブック』のジャパンプレミアに出席。(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

2009年には元俳優・歌手の押尾学氏が麻薬取締法違反で、また俳優の酒井法子氏が覚せい剤取締法違反で相次いで逮捕された。

2014年には多くのヒット曲を生み出したCHAGE and ASKAでボーカルなどを務めていたASKA氏が覚せい剤取締法違反・麻薬取締法違反で逮捕され、2016年にはプロ野球の西武や巨人で活躍した清原和博氏が覚せい剤取締法違反で、2019年にはミュージシャン・俳優のピエール瀧氏と、俳優の沢尻エリカ氏が麻薬取締法で、そして今年は、ミュージシャンの槙原敬之氏が2度目の覚せい剤取締法違反で逮捕されている。

この中で唯一、逮捕後に少しずつ完全復活に近づいていた槙原敬之が2度目の逮捕をされるのは皮肉なことだ。やはり薬物事犯で逮捕されてしまうと、それだけイメージダウンが激しいということだろう。酒井法子氏のように高い知名度だった人でも10年以上たった今でも、完全復帰にはいたっていない状況だ。