日中間の諍いが絶えぬ尖閣諸島とその周辺海域。いつ、何をし出すかわからない中国の意図と行動を読む手掛かりは何か。
2012年12月に中国機が尖閣上空を侵犯、日本政府は強く抗議した。中国国家海洋局の提供。
写真=中国国家海洋局/ロイター/アフロ
2012年12月に中国機が尖閣上空を侵犯、日本政府は強く抗議した。中国国家海洋局の提供。

1993年から石油輸入国に転じる

世界各地での中国の傲岸ともとれる行動が止まらない。尖閣諸島周辺に、8月2日までに111日連続で中国公船を送り込み、「中国の領海であり、日本の船は入ってくるな」と日本の実効支配を脅かし続けている。習近平国家主席の国賓来日の協議と同じ時期であったために、多くの日本国民の怒りと戸惑いを呼び、来日は無期限延期となった。

それだけではない。南シナ海のサンゴ礁を埋め立てての軍事基地化、「一帯一路」構想においては、格下の国々を相手に現地プロジェクトへの巨額融資→焦げ付き→借金のカタに港湾などを専有化……という高利貸のような手法を繰り返す。新型コロナウイルスの感染拡大に際し、他国が切望したマスクや検査キット提供をちらつかせて外交を展開する……さながら100年遅れてきた帝国主義国という体である。

そもそも尖閣諸島を含む南西諸島は日本領であり、「領土問題は存在しない」というのが日本の立場だ。1945年の敗戦とともに米軍の管理下に置かれていたが、中国が同諸島を意識し始めたのは1968年、国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の海洋調査で、周辺の海底にイラクに匹敵する埋蔵量の石油資源が眠っている可能性を指摘されてから。70年12月、中国が尖閣諸島とセットで「南シナ海の大陸棚に主権を擁する」という主張を開始した。

1993年から石油純輸入国に転じている中国。14億人弱の人口を抱える今、他国の領土内とはいえ目の前にある豊かな資源に、半世紀にわたってこだわり続けるのも無理はない。