だからこそ、ここに政治の役割がある。
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民間人への補償をどうするかという「政治」判断は政治家がしっかりと行い、その判断に基づいて政治家が「法律」を作らなければならないのだ。その法律を官僚がしっかりと執行し、裁判官が解釈をする。
もし国民全体が戦争被害を我慢しなければならないというのであれば、民間人だけではなく、軍人・軍属・その遺族に対しても補償をしてはいけない。
日本の政治家は何をやっている!! 官僚たちの主張に従うのではなく、国民・国家のことを考えてしっかりと政治判断をしろ!! 軍人・軍属・その遺族と一般国民の間の不公平についてどう考えているのか!!
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今からでも遅くはない。まず戦後補償が行われてこなかった民間人に補償を追加し、今後有事によって被害を受けた民間人にもきっちりと補償が行われる戦争被害補償法制をしっかりと整備すべきだ。世界の先進国ではこのような法制度はきちんと整備されている。放ったらかしなのは日本だけだ。情けない!!
一部の人に人為的な犠牲を求める以上、休業要請に補償は必要
戦後補償の話は、コロナ禍における休業補償の話とシンクロする。
コロナ禍における休業要請は、地震・火災・水害などの自然災害や単純な不景気による休業とは異なる。政治が、社会防衛のために人為的に権力を用いて、特定の事業者に対して休業を要請するものだ。
自然災害や単純な不景気による休業は、政治の責任とは一概には言えない。政治が一定の救済措置を講じることはあっても、原則その現実を国民は受け入れざるを得ない。何から何まで国に補償を求めることはできないだろう。
しかし大多数の国民の安全を守るという社会防衛のために、権力からの要請で一部の人たちが休業させられるというのは、明らかに人為的な犠牲というものにほかならない。ここに補償が不要だと言うのであれば、民間人への戦後補償は不要だと言い切った官僚たちの発想と全く同じだ。
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繰り返し言うが、感染拡大を抑止するためには、感染が発生したか発生していないか、対策を講じたか講じていないかを問わず、一定の地域の一定の業種の営業をピンポイントで止める必要がある。このような営業停止権限の武器を知事に渡すことこそが、コロナ対応の重要な柱であり、特措法の最大の改正ポイントだ。
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.212(8月18日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【コロナ休業と戦後補償】一部の人に犠牲を求めるのに補償は不要? 政治家や学者の見解はここが間違っている!》特集です。