コロナ禍で「定期券離れ」が始まるのか
新型コロナウイルスの影響で、100年間続いた高割引率の通勤定期券を背景にした大量輸送=満員電車文化は、その歴史的役割を終えようとしている。
JR東は、混雑率(需要)に応じて値段が変動する運賃制度を採用した場合の具体的な値上げ幅について明かしていないが、今後もラッシュ時間帯の通勤を続ければ、手持ちの定期券が値上がりするのは間違いない。一方で、ラッシュを過ぎて乗れば現状よりも安い運賃になる可能性もある。定時出社の概念が崩れつつある今、これまで当たり前のように通勤手当を支給していた企業側も見直しを迫られることになるだろう。
実際、富士通は7月から通勤手当を廃止し、月5000円の「スマートワーキング手当」を開始。カルビーも7月から通勤定期代に代わり、オフィス出社時の交通費を実費で支給すると発表した。通勤定期を実質廃止する大企業のこうした動きは鉄道事業者にとっては痛手だが、新たな運賃制度が実現すれば会社員の「定期券離れ」はさらに進んでいくだろう。