「巣ごもり生活」で業績を伸ばす殺虫剤業界
コロナ禍、長梅雨で巣ごもり生活を強いられた今年の春から初夏。この間に業績を大きく伸ばした意外な業界があるという。殺虫剤業界だ。実は、“飛んで家に入る”害虫の対策に、業界は息つく暇もないほど忙しいという。
梅雨が明けた晴天の日に、家の近所を見上げてほしい。そこにはアシナガバチが大きな巣を作っているかもしれない。くれぐれもスズメバチでないことを祈りたいところだが、虫たちは、人間が巣ごもりをしている間に、着々とその縄張りを広げている。
朝日新聞デジタルによると、ドラッグストア大手のスギ薬局では、「殺虫剤」の6月の売上高が前年同月に比べ3割増えた。ハエ・蚊用の殺虫剤が3割増、ゴキブリ用が6割増となったという。
さらに調査会社のインテージ(東京)が全国の小売店を対象に実施した調査によると、殺虫剤の市場規模は、4月は前年同月比7.1%減だったが、5月で前年比26.1%増、6月で同34.9%増となっているという。
外出自粛の要請は、殺虫剤の売れ行きにも直結するわけだ。
侵入害虫の爆発的増加
家庭の虫対策もさることながら、日本はいま、多くの危険侵入害虫に侵されている。
人に直接危害を加える侵入種としてのヒアリやツマアカスズメバチ。1995年に日本で見つかって以来、あっという間にほぼ日本全土に侵入した毒を持つセアカゴケグモ(噛まれると危険)。温暖化とともに北上を続け、デング熱やジカ熱ウイルスを媒介するヒトスジシマカ。
最近日本で再び増加傾向にあり、殺虫業界で警戒されているトコジラミ(南京虫:ホテルのベッドなどに潜んで夜中に出てきて宿泊者から吸血する)。毎年北上して農作物を加害する害虫……。
グローバル化と地球温暖化は、外来昆虫の爆発的な増加に拍車をかけ、結果として日本は空前絶後といえる「侵入害虫博覧会」の様相を呈している。