北海道とエジプト、カンボジアに農地を確保

国際型SPAビジネスモデルを、小売業界も模索する時代に<br><strong>神戸物産会長兼社長 沼田昭二</strong>●兵庫県立高砂高校卒。1985年同社を設立して、社長に。2008年9月から現職。
国際型SPAビジネスモデルを、小売業界も模索する時代に
神戸物産会長兼社長 沼田昭二●兵庫県立高砂高校卒。1985年同社を設立して、社長に。2008年9月から現職。

当社がフランチャイズ展開する「業務スーパー」は、缶入り緑茶28円、コロッケ1個30円といった価格帯の商品を扱っている。会員制ではないので、業者に限らず一般の買い物客も多い。

「業務用」の看板を掲げた今の業態は、既存の大手小売りと競合しないニッチ市場をつくり出し、活路を見出そうという、いわば苦肉の策から生まれたものだ。それが結果的に安くていいものを求める消費者に支持され、社員180人強で年商1100億円を稼ぎ出すまでになった。

製造業や小売業は、たとえ不況期にあっても「安かろう悪かろう」では相手にされない。安くても確かな品質を求めるのが、今の日本の消費者の特性だからだ。

そのため安全性を絶対としたうえでプロの利用に耐えうる品質を追求し、一方で製造コストと流通コストを下げることで利益を確保してきた。自社工場で加工食品を製造しているのもそのためだ。自社製造品を店舗に直接流すことで品質管理が徹底され、製品の安全性が高まり、流通マージンもカットできる。

その結果として当然利益率もアップする。店頭に並ぶ商品の粗利は、メーカー品で10%台前半だが、プライベート商品(PB)は17%前後。当社の売上高に、PB商品が占める割合は約30%。イオンでもPB商品の割合は8%台だと言われているので、相当高い数字だ。

またコストを下げるために、輸送はトラックの代わりに割安な船便を利用することが多い。船便には、長期の発注計画を立てる必要があるので、他の小売店のように前日発注・当日納品を取っていない。日本の小売店の多くは欠品が出ることを非常に嫌い、スピード発注・納品が慣例化しているが、当社ではコストと安全性を優先し、ときには商品の欠品も致し方ないと考えている。