【ここがクリエイティブ
@購買促進コンサルタント 金子哲雄】

家計調査年報(総務省)を見ても、「2月・8月に落ち込む」という消費行動は、昔から言われているほどには見られなくなっています。これは、クレジットカードやボーナス一括払いが普及し、現金の有無に関係なくいつでもモノが買えるようになったからです。

不動産業界、特に首都圏の5000万~6000万円のマンションの場合、お盆は逆に親族どうしが集まることが多く、決定権を持つ人=頭金を出す購買者の親のハンコを迅速にもらえる、と休暇返上で働く営業マンもいるようです。

今、消費者はいたるところで「売りつけられる恐怖」と戦わねばなりません。「ちょっと見るだけ」のつもりでも、つい気持ちが先走る売り手はなかなか解放してくれません。

客が情報を持つようになると、過剰な接客はむしろマイナスになります。モノ余り時代の営業は、売ろうとするのではなく自発的に「欲しい」と思わせることがポイントです。

ピルプワークのビジネススタイルはシンプル。客として「嫌な思い」をしたことを愚直なまでに行わないだけです。これがほぼ完璧に近い形で実現されているのではないでしょうか。その鍵を握るのが、各販売現場付近に住む女性のパート社員の方々。限りなく客に近い立場を維持しながら、近隣に住む人ならではの情報で接客のきっかけをつくり、さらに主婦としての心の余裕が「売りつけない」雰囲気を醸し出しています。

型通りではないこの柔軟な主婦マインドが客の共感を呼び込み、好業績へと実を結んでいるのではないでしょうか。

(熊谷武二=撮影)