共和党による「投票妨害」が起きている

現在のアメリカは、ブラックライブスマター運動が盛り上がれば盛り上がるほど、トランプ支持者が差別感情で結束していく状況にある。しかし、アメリカ全体の論調で見ると、コロナ対策の失敗とブラックライブスマターへの対応のマズさでトランプ氏は急激に支持を落としている。

私が話を聞く限り、熱狂的なサポーターではないが前回トランプに投票した人の多くはトランプ離れが進んでいる。任期4年間で富裕層や大企業は減税の恩恵を受け、株価も上がって儲けさせてもらったからもうこれでOK、しかしこれ以上アメリカを人種差別の国にはできないし、コロナで壊滅させることもできないといった意見だ。

最新の世論調査でトランプ氏の支持率は、激戦州も含めバイデン氏に10~14%とこれまで最高のリードを許している。また、ロックダウン解除後初の支持者集会が定員の3分の1しか埋まらなかったこと、トランプ氏の支持基盤である保守州を中心に、全米の感染が非常に深刻化していることも暗い影を落とし始めている。

こうした中、岩盤支持層だけでは勝てない共和党は、投票率を下げるため数々の投票妨害行為に乗り出した。支持者を熱狂させ投票所に向かわせる一方、黒人やリベラル層に対しては投票意欲をそいだり、投票自体をできなくしたりしている。具体的には、コロナ対策のために導入する郵送投票をトランプ氏が違法と言い切ったり(支持者はそう信じている)、共和党知事の州では黒人などのマイノリティが住むエリアを中心に、コロナ対策を理由に投票所を次々閉鎖したりしている。

11月の大統領選の行方は

また、前述したソーシャルメディアでの情報操作も一層激しくなると予測されている。

前回大統領選の際は、フェイスブックを利用してトランプ氏当選に貢献したのが前述したマイクロターゲティングだったとされている。その手法が今回はより強化され、トランプ陣営も合計1000億円という驚くべき予算を使っていると伝えられている。もちろん民主党も同じ手法を使ってはいるが、その数も金額もずっと少ないと報道されている。

しかし、個人情報を駆使したマイクロターゲティングを政治広告に利用することへの批判は強い。それも含め、ヘイトスピーチや偽情報を大量にばらまくトランプ陣営に対し、ツイッターは政治広告を禁止。グーグルなども対策を始めている。対策の遅れが目立つフェイスブックに対しては、大企業が広告の引き上げに踏み切り始めている。前回選挙と同様に、ロシアをはじめ外国政府の介入も気になるところだ。

11月の大統領選はトランプ氏のもとでますます結束する支持者と、トランプ氏を引きずりおろそうというアンチトランプとの戦いだが、その間で醜い投票妨害や、テクノロジーを駆使した世論操作はますます激しさを増しそうだ。

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