「ホスト行けないなら、翼に幻滅されるなら、死にます」
「風俗やめたからって月100万円以上稼げる仕事なんてないし、コロナでどうなってもこのまま続けるしかない。ホスクラに行かないとか絶対ないです。私、友達も家族もいない。翼しかいないんです。風俗のことを隠すのが面倒くさくて、お母さんに話した。縁を切られました。娘が風俗嬢なんて嫌じゃないですか。だから私も親と縁を切りました。お母さんは妹に悪影響を与えるって。それでいいと思いました。隠しているのが嫌だったし。だから、自分から失望させたほうがいいかなって」
月100万円以上稼ぎ、翼に幻滅されないようする“コロナ対策”は、まだなにも浮かばない。稼げない恐怖、ずっと待機する苦痛に耐えながら時間ばかりが過ぎていく。
「東京に来てからずっと働いているので、東京に友達はいないです。つないでくれた鈴木(樹里)ちゃんは、たまたま同じ店の常連ってだけ。本当に私、翼しかいない。ホスクラしかないんです。だから、やめられない。依存です。わかっています。でも、やめようとは思えないし、帰るところもないし。ホスト行けないなら、翼に幻滅されるなら、死にます。だからコロナとか怖くないんですよ」
舞ちゃんの話は終わった。お礼を言ってLINE電話を切った。Tビルがすぐ目の前に見える場所での電話だった。あの鉄製の扉を乗り越え、飛び降りる女の子の気持ちが少しだけ理解できた。