関心を示さず、足を運ばずに成功できるはずがない

では、彼らは何のためにインドに来たのでしょうか。そして、彼らは言います。

「日本の本社のトップはインドのことはわかりませんから。何かをやろうと思っても無駄なんですよ」

グルチャラン・ダス、野地秩嘉『日本人とインド人』(プレジデント社)
グルチャラン・ダス、野地秩嘉『日本人とインド人』(プレジデント社)

現地に関心がないトップと早く帰りたい駐在員がいる企業が、インドで業績を上げられるわけがありません。日本人にとって中国、韓国は決して相性がいいとはいえない国でしょうけれど、それでも関心はある。一方、インドはワンダーランドなのでしょう。何があるのか知らないし、関心もない。

けれど、考えてください。スズキがインドで成功しているのは、鈴木修会長が何度もインドに来ているからです。ソフトバンクの孫さんは一度、ナンバーツーをインド人にしました。さらに、インドの企業に投資しています。自分でやってきて、自分で判断しています。ユニクロの柳井さんもモディさんに会ったり、自分でインドマーケットを開拓したりしています。

そして、アメリカ、イギリス、中国、韓国、インドで成功している企業のトップは全員、その地に足を運んでいます。トップマネジメントがコミットしていないのは日本くらいです。ですから、インドでは日本製品の存在感がない。金融機関も名前を知られていない。そこを変えない限り、インドで日本企業が成功することはありません。

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