米中対立が先鋭化するなか、どう動くのがベストか

新型コロナウイルスの感染拡大が、世界経済の景色を大きく変えている。感染拡大阻止のため人々の動きが抑えられ、テレワークの重要性が高まっている。それに伴い、旅行や小売り、自動車などの売れ行きが大きく低下している。

トヨタ自動車の品質監査棟で行われる人材育成過程の説明で、コンデンサを手にする作業員。同社の「現地現物」主義にのっとり、各種の部品を用いて人材育成を行う=2010年3月30日、愛知・豊田市の同社本社
写真=時事通信フォト
トヨタ自動車の品質監査棟で行われる人材育成過程の説明で、コンデンサを手にする作業員。同社の「現地現物」主義にのっとり、各種の部品を用いて人材育成を行う=2010年3月30日、愛知・豊田市の同社本社

世界経済全体を眺めると、最も注目されるのは米中の対立が先鋭化していることだ。米中の対立激化の背景には、IT先端分野での覇権争いがあることに加えて、トランプ大統領と習近平国家主席が苦しい国内事情を抱えていることがある。11月の大統領選挙を控えたトランプ大統領は、一部共和党保守派や対中批判を強める世論からの支持をつなぎ留めなければならない。

一方、中国では、感染症対策の遅れや経済環境の悪化から、習近平国家主席への不満や批判が高まっている。同氏は内外に指導力の強さを示さなければならない。当面、そうした状況は変わらない。米中対立はさらに先鋭化するだろう。

両国の対立は、コロナショックによって低迷するわが国経済にとって無視できないリスクだ。安全保障と経済面で米中板挟みの状態にあるわが国は、両国から必要とされる技術を磨き、両国から秋波を送られる存在を目指す必要がある。それを実現するのは容易なことではないが、わが国にとってベストな道であることは間違いない。