コロナ禍でGAFAMとBATHが生み出す変化
コロナショックは、世界の政治、経済に様々な変化をもたらしている。まず、世界各国において、感染対策のために人の移動を制限しながら経済活動や日々の生活を維持するために、IT先端技術の重要性が高まった。
テレワークやネットバンキング、オンラインでの動画視聴や教育、行政サービスの提供など、ITプラットフォーマーとそれを支えるテクノロジーや最先端の技術は、経済と社会の安定に非常に大きな役割を担っている。
それに加えて、医療や医薬品開発の重要性も高まった。ワクチン開発に関しては英アストラゼネカが9月の供給開始を目指している。どこよりも早くワクチンを供給できる企業、および国は、今後の国際社会における発言力を高めるだろう。
また、5G通信サービスの普及などによって、オンライン診療やIoT(インターネット・オブ・スィングス)の技術を用いた公衆衛生体制の強化など、世界全体で新しい取り組みが急速に進んでいる。
そうした変化を生み出しているのが米国のGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)や、中国のBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)だ。
経済のプロ「日本経済の回復には数年必要」
わが国の景気低迷の懸念が高まっていることも見逃せない。残念ながら、わが国ではIT化の遅れが深刻であることがはっきりしてしまった。
日本企業が用いているオンライン会議システムは米Zoomやマイクロソフトなど、海外に依存している。わが国独自の技術でデジタル化を進めるには至っていない。政府の給付金申請をめぐる混乱を見ていると、わが国はIT技術を経済と社会の安定にどう生かすか、具体策がないといわざるを得ない。
また、日本経済をけん引してきた機械、自動車への需要は世界的に低迷している。それに加えて、今後の世界経済を引っ張るIT先端企業がわが国にはない。当面、日本経済は低迷気味に推移するだろう。経済の専門家の中には、日本経済の回復には数年を要するとの見方が多い。