ハイリスクな人をひそかに排除する「プランB」

私の偏見や絵空事によってそのように言っているわけではない。事態はすでに現実の水面下で静かに、しかし着実に、そして大きく進行している。

発達障害者や精神障害者、あるいは医学的な診断を受けていないだけでそれに類する気質を持つ人など、なんらかの「(条例や医学的診断や政治的ただしさなどを背景に)配慮されるべき弱者性」を持つ人びとを「身内」に招き入れてしまった場合に求められる「配慮コスト」が、ほとんど「社会的リスク」とイコールになってしまうほどに高まった場合において、マジョリティー側はよろこんでそのようなコストやリスクを甘受するわけではない。

甘受するどころかむしろその逆である。あくまで建前上は社会的風潮に従うそぶりを見せているものの「ハイリスクな人びとであることに気づかず、うっかり『身内』に招き入れてしまわないように、最初から高確度で検出して排除するような方法論を確立すればよいのだ」という「プランB」を模索している。

「メンタル不調」のリスクを調べる適性検査

マネジメントベースが提供する適性検査「リスクチェッカー」は、あくまで特定の病名を出したり、なんら医学的診断を下したりしているわけでは一切ないものの、私が見るかぎり、ASDやADHDなどの発達障害(傾向)、あるいは双極性障害や人格障害の可能性といった「企業社会でのリスク要因」となりうる人びとを検出しやすいトピックを設けているように見受けられる(念のため再度断っておくが、同社は医学的な診断を下しているわけではけっしてなく、あくまで「リスクを統計的に検出」することだけを目的として謳っているため、これをもって差別であるなどと断じるのは難しいだろう)。

Q:メンタル面のリスクを重視したいが、この検査ではどのような情報を提供してくれるか?
A:企業が最も知りたい点は究極的に、採用した後、「休職や離職に至るようなメンタル不調を発症するか否か」と考えます。単なる特徴としてのストレス耐性等の把握にとどまらず、このようなメンタル不調顕在化リスクを的確に診断するアウトプットを提示します。
その一方で、メンタル不調やストレス耐性の強弱についても様々な要因や特性があることが明らかになっています。それら要因やタイプについても従来の検査にはないカバー範囲でリスクを検出します。
一例をあげると、日本人に最も多い「うつ病」の潜在リスクだけではなく、最近の二十歳代に特有な「新型うつ病」、「未成熟うつ」と呼ばれるタイプや、頑張りすぎるタイプでストレスが心よりも体を壊すリスクの高い「タイプA」と呼ばれるタイプを把握します。
最近注目されているパーソナリティ障害(境界性、回避性、反社会性、統合失調症との関連性が指摘されている型など)の傾向も要注意です。なお心因性ではなく脳の問題に起因する発達障害傾向がある方の二次障害としてのリスクを指摘する専門家もいます。
(リスクチェッカー『FAQ ~よくいただく質問~』より引用)