「日本は財政破綻する」はウソ…

ここまでは、日本がまだ本気で手を付けていない部分に対して、力と資金を振り分ける余地が十分にあることについて見てきました。ここからは、現状の国力について見ていきます。<日本経済はヤバい><大借金大国、ニッポン>そんな見出しや、タイトルを目にしたことはないでしょうか。事実ベースで言えば、日本経済は、アメリカ、中国にGDPで後れを取り、1300兆円の負債を抱える大借金国です。それを受けて、危機をあおられれば、私たちは当然おびえます。結論を急げば、「日本ヤバい論」は間違っています。

国の国力を見ていくときに、ドルのストックがどの程度蓄積されており、基幹産業が吹っ飛んだとしても何年、経常黒字がいつまで続くかを試算することで、国の力を測ることができます。フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議の18年時点の試算によると、日本は年間、7兆4000億円程度のドルが増加しており、官民で約261兆1000億円(外貨準備以外は60%をドルと試算)のドルを保有しています。

18年の経常黒字は19兆1000億円であり、仮に自動車産業が壊滅したとしても、単純計算では経常赤字に転落しません。産業の分散が進んでいるとともに、強固な外貨ストックが存在しており、日本は簡単には経常赤字国にはならない強さを持っています。一方、お隣の韓国では、官民で26兆7000億円のドルを保有しており、経常黒字は18年時点で、8兆4000億円であり、基幹産業である機械・半導体が壊滅すれば、20兆円近い経常赤字に転落することになります。

「負債」1300兆円は、「資産」と比べる必要がある

日本は、いまどのくらいの力を持っているのでしょうか? 現在の日本の借金は、日本銀行の「2019年第4四半期の資金循環」のデータによると、現在、政府の負債合計は約1300兆円です。一方で政府の「資産」は政府資産(約620兆円)+外貨準備高(約140兆円)=約760兆円になります。この約760兆円に対する、負債1300兆円の割合を考えると。借金の額はそれほど大きくないことがわかるのではないでしょうか。国の財政も資産と負債の2軸で考える視点が必要です。

世界における椅子の奪い合いではなく、日本は独自の椅子を作っていけばいい。その為に、日本の潜在能力をいかに伸ばしていくかを共に考える必要があります。

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