本当に「失われた20年」だったのか

「こんなものがあったらいいな」という、まだ世の中にない人々の願望を実現できる企業が成長する国こそが、国力を高めていくことになります。それができるのはアメリカや中国なのではないか? いえ、日本も可能性は十分にあり、本気で向き合っていないだけです。そのために必要なのは、新しい技術開発を行っているスタートアップへの投資や、国の予算のポートフォリオを研究開発費用などのミライにつながるお金の使い方に少しで良いので、振り分けることでミライは大きく変わります。

バブル崩壊後の1991年時点から20年間を「失われた20年」と指すことが多いです。バブル崩壊で露呈した銀行の不良債権問題や企業のバランスシートの傷みといった問題は基本的に解決していた後も、経済成長はバブル崩壊以前の水準に戻らなかったのです。その原因は「労働生産性が停滞」していたことが挙げられます。

日本にはまだ、伸びしろがある

生産性を伸ばすことができなかったことはGDPを見れば一目瞭然です。世界ランキングを見ると19年では、アメリカが21兆4200億ドル、中国は14兆3400億ドル、そして第3位の日本は5兆800億ドルとなっています。アメリカと中国が巨大なGDPを稼ぎ出しているものの、日本も長い間3位を堅持しています。

ほんの10年前までは、中国より上の世界第2位でした。10年前の2000年のGDPはアメリカは約10兆2500億ドルと、この20年で約2倍、中国は約1兆2100億ドルと、この20年で12倍、日本は4兆8800億ドルと横ばいです。世界的に一気に生産性が高まった、ここ約15年間に、日本だけが大きく伸ばせなかった理由は生産性を伸ばすことができなかったからです。言い換えれば、日本にはまだ伸びしろがあるのです。