不動産会社主催のセミナーは営業ツール

新しく何かを始めるとき、まずはそのテーマに関する情報を、さまざまな角度から幅広く集めるだろう。情報の集め方次第で結果が大きく変わってくるのが家主業である。今、「不動産投資」に関しては情報があふれているといっても過言ではない。書店に足を運べば、不動産投資専用の書棚はあるし、インターネットで「不動産投資」と入力し検索すれば、もの凄い数のサイトやブログ、動画、SNSのページが出てくる。投資や資産運用の分野で、不動産投資はかなり大きな存在感を示すようになっている。

一方で、その情報を一つ一つ見ると、さまざまな投資手法がある。不動産といってもさまざまなタイプがあり、どの不動産をどんな方法で購入したらいいのか、迷ってしまうのではないだろうか。そこでまずは専門家の話を聴こうと考え、収益不動産サイトに掲載されている不動産投資セミナーに参加して情報を集めるビギナーは多い。

セミナーに参加することは確かに情報収集の一つの手段である。ただし気をつけなくてはいけないのは、そのセミナーの多くは不動産販売業者が主催しているということだ。そのことをきちんと理解して参加するのであれば問題はないが、そうでない場合、販売業者の上手なセールストークに乗せられ、不本意な不動産購入をしてしまうケースもある。

そういう人は、実際には1つか2つ程度のセミナーに参加しただけで決めてしまうのだ。多少のリスクがあっても、買いたくて仕方のないビギナーは、販売会社に「大丈夫、あなたなら買えますよ」などと言われると舞い上がってしまうからだろう。不動産の世界は金額が高いモノを扱うだけに、玉石混交だ。もちろん良心的な不動産販売会社もある。その良心的な販売会社を見つけ出せないと、不動産を購入できても後から苦労する羽目になる。

成功した家主は数十冊もの書籍を読んでいる

だからこそ情報は多方面から集めることが重要だ。まずは不動産投資と名の付く書籍は片端から読もう。うまくいっている家主たちは基本的に数十冊は読んでいる。これまで取材した家主の中には「読んだ本は100冊を超える」という人もいた。収益不動産を購入するときにどんなことをしたらいいのか、どんなことに注意したらいいのかなどは、先輩たちが経験してきたことや専門家によるアドバイスなどで知ることができる。

ただし、不動産投資本もまた、玉石混交であることは留意しておきたい。特に近年は不動産を購入してまだ5年も経っていないような人が、まるで自分は「成功者」のように本を出版しているケースが目立つ。家主業はたった5年くらいではうまくいったかどうかは正直わからない。むしろ買った当初は儲けやすく、徐々に収入が減り、借り入れの返済が終わったころ、また増えていく傾向にあるのだ。家主歴が10年未満の人が書いた本については、参考程度にとどめておいた方が無難だろう。