セールストークを信じ切ってしまった会社員の末路

ここで、不動産会社の営業マンのセールストークを真正直に信用して大変な目に遭った人の事例を紹介したい。投資用ワンルームマンションを営業マンに言われるがまま買い進めて、結局、損切りで売却したサラリーマンの笹川さん(仮名)だ。

不動産会社の営業マンに「1つしか持っていないから不安定になるんですよ」と言われ、3戸購入してしまったことを後悔しているという。

悪夢の始まりは2006年。新築分譲マンション業者から電話営業されたことがきっかけで、1戸購入したことだった。「老後対策として、また節税対策としてもいい商品ですよ」と勧められて契約。営業マンに言われるがままローンを組み、その後の賃貸管理は販売会社の系列の管理会社に任せることにした。購入当初は新築とあって家賃も高く、入居も安定していた。収支も毎月の手残りこそわずかだったが、マイナスになることはなかった。

ところが、数年経つと周辺に新築ワンルームマンションが多く建ったことから、空室期間が長くなり、家賃の値下げを余儀なくされ、その結果、収支はマイナスになった。これからどうすればよいのかと担当の営業マンに相談した。そこで、冒頭のセリフを言われ、2戸目と3戸目を購入してしまったが、結局やりくりするのは大変だった。

担当の営業マンに電話すると、すでに退職していた。サラリーマンとしての収入があるので、不動産収支のマイナスを何とか補填することはできたが、退職後の見通しに不安を感じ、結局、売却を決意した。損切りせざるを得なかった笹川さんは、自らの安易な不動産投資に猛省したという。

「高利回り物件」の8つの理由を押さえよ

不動産投資家が書いた書籍やブログなどでよく出てくるのが、「高利回り」という言葉だ。

「利回り」とは、投資額(不動産購入額)に対するリターン(家賃収入)の割合のことで、収益性の目安となる。当然、「高利回り」とは「高収益」ということで、不動産情報にある「高利回り物件」という文字は、収益不動産を購入しようとする人たちの目には魅力的に映る。高利回り物件とは、価格が安い割に高い家賃収入が得られる物件のこと。つまり、いかに割安な物件を探せるかどうかがポイントというわけだ。

まず、留意しておきたいのは、不動産に限らず、割安なモノには当然割安な理由があること。その理由をしっかり押さえておかないと、買った後に「こんな物件買わなければよかった!」と後悔することになる。価格が安い理由は、買いたいと思う人があまりいない、つまり人気がないということだ。そこで、まず不動産で人気がない物件の特徴を挙げてみよう。

1 建物が古い
2 立地が悪い
3 空室だらけで家賃収入が少ない
4 借地権が付いている
5 土地に接道がなく建て替えができない
6 事故物件である
7 特殊な物件である
8 売主に事情がある

主に以上の8つの理由がある。ここでは、最も高い利回りを狙える可能性がある物件の1つ、建物が古い物件を購入する際の注意点について、説明しよう。