不動産投資を始める会社員が増えている。その動機は、給与だけではなく、「家賃収入」を得ることで老後不安を解消することだという。しかし、専門誌『家主と地主』編集長の永井ゆかり氏は、「不動産投資は未経験の素人が手を出すと大損する恐れがある。『かぼちゃの馬車』がいい例だ」という――。

※本稿は、永井ゆかり『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)の一部を抜粋・再編集したものです。

ビジネスマンのオフィスで手で顔を覆っていると強調しました。時間をかけて作業またはあまりにも多く。ビジネスまたは危機の混乱の問題。破産の起業家。燃え尽き症候群と過労。
写真=iStock.com/Tero Vesalainen
※写真はイメージです

「かぼちゃの馬車」事件とは何だったのか

3月25日、スルガ銀行は、シェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーに不正な融資を行っていた問題で、東京地方裁判所に調停を申し立てていた257人のオーナーに対し、東京地裁の調停に基づいて担保物件の物納を条件に借金返済を免除する手続きを実施したと発表した。

2018年5月15日、記者会見で謝罪するスルガ銀行米山明広社長はじめ当時の経営陣
写真提供=全国賃貸住宅新聞社
2018年5月15日、記者会見で謝罪するスルガ銀行米山明広社長はじめ当時の経営陣
スルガ銀行本社
スルガ銀行本社(写真提供=全国賃貸住宅新聞社)

「かぼちゃの馬車」の投資トラブルは、そもそも不動産投資ができるほどの資産がない人たちが、実勢価格より高値のシェアハウスをフルローンで購入し、運営会社が販売時に説明した家賃では入居者が集まらず、破綻。オーナーの手元には収益性が低いシェアハウスと多額の借金だけが残ったというものだ。

融資したスルガ銀行も、シェアハウスの購入契約を結んだオーナーに融資する際、審査を通りやすくするため顧客資料を改ざんするなど不適切な融資を行ったことで、2018年10月、金融庁から6カ月の不動産投資向けの業務停止命令を受けた。今回スルガ銀行は、オーナーに担保物件を物納させ、ローン残高と同額の解決金を支払い、融資物件の債権を第三者に譲渡した。他のオーナーに対しても要望があれば同様の対応をとり、この問題に決着をつけたいとしている。