「家賃収入=手取り収入」ではない
3つ目は、満室想定利回りのベースとなる家賃は、そのまま何年も続くとは限らないということだ。周囲に同じようなタイプの新築の物件が増えれば、競争上、家賃を下げないと入居者が決まらないという状況になるのが一般的だからだ。実際、10年間家賃を下げなくていい物件は珍しい。
4つ目は、広告に表示されている利回りは表面的な利回りであり、実際の利回りではないということだ。賃貸経営にかかるコストは、不動産購入費だけではない。契約する際には仲介手数料や広告料がかかり、管理会社に委託すれば管理費がかかる。設備の故障や建物が老朽化したときには修繕費がかかる。最大の支出である借金の返済が重くのしかかる上に、税金も払わなくてはいけない。
時々勘違いする人がいるが、「家賃収入=手取り収入」ではない。売り上げにあたる家賃収入から、こうした費用を差し引いた金額がキャッシュフロー(手残り)となり、これがいくらなのかを考慮して算出する実際の利回り、「実質利回り」を把握し、確保できるかどうかを見極めることが重要だ。