新型コロナウイルスの感染拡大による病床不足を防ぐため、東京五輪の選手村として建築中のタワーマンションを転用することが検討されている。麻酔科医の筒井冨美氏は「感染症の患者を収容するには、酸素などが中央配管で投与できるのが望ましい。一般住宅にこうした設備はなく、重傷者が急増した場合には新規に“コロナ病院”を建てたほうが早くて安い」という――。
空病棟
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小池都知事が「タワマン五輪選手村をコロナ病院にリノベしたい」

2020年春、世界は新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄されている。日本でもついに東京都と大阪府に緊急事態宣言が発令されることになった。

思えば当初、中国・武漢で発症者が出たばかりの頃は対岸の火事のように眺めていた日本人もいたが、横浜港に停泊したダイヤモンド・プリンセス号で感染者が続出したあたりから暗雲が垂れ込めはじめ、3月に入れば感染拡大のクラスターが各地で発生。外出自粛の大号令が吹き荒れた。

そして、事態がより深刻化したのは3月24日に「東京五輪の延期」が決定された後のことだった。都市部を中心に、感染経路不明の感染者が増え、「オーバーシュート」(感染者の爆発的増加)が懸念されるようになった。中でも感染者が4月4日に「感染者100人」の大台を超えた東京都では感染症病床の不足が予測され、医療体制の整備に追われている。

東京都の小池百合子知事は五輪延期決定後の3月27日、フジテレビの情報番組『とくダネ』に出演し、新型コロナウイルスの軽症患者を一時的に滞在させる施設として東京オリンピック・パラリンピックの選手村を活用する可能性について言及した。その後、政府もこの案に賛同し、公明党も「1万8000床分確保できる」と前向きだ。