国が予算を投じて新規で「コロナ病院」を建てるしかない

現在、「2週間の隔離」を実践する新型コロナ感染の軽症患者の中には「自宅療養」している人もいる。2週間の長きにわたる缶詰生活に耐えられるのは自宅だからだろう。それに対して、選手村のタワーマンションはまだ建設途中で、周囲にコンビニも宅配業者もない。

よって、ここで新型コロナ感染の軽症者の自主的隔離を要請しても、2~3日後には「爪切り忘れた」「枕が合わない」「配給される弁当に飽きた」といった理由で、こっそり近くの銀座でショッピングや飲食をする人が出るおそれもある。しかも、あくまで「自主的隔離」なのだから従わなくても罰則はない。東京都の約半数は単身世帯なのだから、単身者は自宅待機のほうが、問題行動を起こすリスクが低いのではないか。

高齢者だと隔離リスクはさらに大きい。

新しい住居になじめず転倒骨折したり、転居のストレスで認知症や抑うつ状態となったりするリスクも潜む。そして、「骨折したコロナ保因者」「コロナ保因者の認知症」に対応できる施設は、現在のところ極めて少数である。

繰り返しになるが、結論としては「選手村マンション」を隔離施設として使用するのは難しいと考えざるをえない。さらなる感染拡大時に重症患者に対応できる病床が不足する事態が起き、欧米のような医療崩壊が起こるのは回避しなければならない。

今のところ、感染者そのものは1日100人前後で報告されているが大部分が軽症者であり、「集中治療室に入院するような重症例」は、日本国内では1日1ケタ以内に留まっている。

既存の病院施設で対応可能な数であり、英米のような「コロナ専門病院」を新設する必要性はない。非常事態宣言が出された今となっては、コロナ疑いの軽症者は極力自宅で療養し、医療資源は生命の危ぶまれる重症者のために温存するよう、国民一人ひとりの自制が望まれる時期である。

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